1930年代日本の金銭債務処理法制-農村負債整理組合法の史的分析
Project/Area Number |
21653001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
林 真貴子 近畿大学, 法学部, 准教授 (70294006)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 農村負債整理組合法 / 1930年代 / 日本農村 / 組合 / 金銭債務臨時調停法 / 紛争処理法制史 / 生活改善運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1930年代初頭の農山漁村経済更生運動下でおこなわれた、農村で組合を形成して負債を整理するという問題解決の方法およびその法過程について検討することである。具体的には、1933(昭和8)年に制定された農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)の施行過程において、組合形成の母体となった農業集落としての「むら」が負債整理の法過程において果たした役割と「組合」を用いた問題解決の方法、さらに同時期に実施された金銭債務臨時調停法(昭和7年法律第26号)との関係を調査・分析した。本年度は、国立国会図書館、法務図書館、国立公文書館および県立市立公文書館等における資料収集を継続した。収集した資料は、おもに各道府県における負債整理組合法の施行細則、実施手引書等、農村(都市)生活改善運動の啓蒙文書、京都地方裁判所や神戸地方裁判所における各種調停法施行時の統計、同法の実態調査等に関するものである。農村負債整理組合法は無限責任の負債整理組合を隣保共助の精神に則り、生活共同体の単位で設立し、債権者も債務者もまたいずれでもない人もすべてが組合員となって、負債の整理を目指すところに特徴がある。組合は、組合員の負債整理計画を検討し、償還方法その他条件の緩和に関する協定を斡旋し、組合員(債務者)に対する負債整理資金の貸付を行なう。この新たな貸付に対して組合員は無限責任を負うことになる。政府は、昭和恐慌期の負債については、「善良なる債務者の更生」のために、農村では生活共同体単位で無限責任を負わせて(条文上は有限責任組合の設置も認めているが)、負債整理を断行するとともに、都市部の小額(訴額千円以下)の紛争については、裁判所が関与した調停手続によって債務者保護に資する解決を図った。農山漁村経済更生運動から続く農村資金計画は、土地、資本、労力の分配の適正、生産販売購買の統制を、各種組合を通じて行なっていった。農業金融の合理化によって負債の固定化を防止しようとした。このような組合方式による負債整理と近代法とのかかわりについて、本研究では収集資料に基づいて分析した。その結果は論文として公表する。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)