Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
生物進化は長い時間の中で生じてきた現象であるため、その過程を直接的に解析を進めることは難しい。私たちは、進化を生じさせる源である突然変異の発生率を人為的に上昇させ、突然変異の発生や淘汰の速度を早めることにより、哺乳類の進化過程を部分的に実験室内で再現する新たな実験モデル系の構築に取り組んできた。これまでに、高頻度突然変異発生系統(DNAポリメラーゼ改変マウス)を作製し、それらを複数のこ系統分け、兄妹交配により繰り返し継代を行うことで、突然変異蓄積系統の作出を進めてきた(最大で15世代の継代が行われた)。それらの系統からは、水頭症や毛色異常などが多発するなど、様々な表現型異常が観察されていた。本年度は、突然変異蓄積系統における表現型の変化について、より詳細に解析を行った。個体の適応度を測定するため、繁殖能力と産仔数の測定を行った。さらに、体重や尾長などの量的形質についての測定も行った。その結果、突然変異蓄積系統では、産仔数や繁殖能力の減少が認められ、量的形質(特に尾長)の多様性が増大していることが明らかになった。また、in vivoで突然変異率の上昇の程度を解析するため、突然変異検出用のレポーター遺伝子を含むトランスジェニックマウスを用いて、生殖系列における突然変異率の測定にも取り組んだ。哺乳類をモデルとして、長期の継代により変化する表現型を解析した実験系は他に例がない。今回、得られた表現型の変化は、哺乳類の実験進化モデルを作製するための出発点ともいえるべき成果である。今後、遺伝型と表現型の関係についての解析が進むことで、革新的な哺乳類の進化実験モデル系を確立することが可能になると考えられる。
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The Journal of Biological Chemistry 284
Pages: 32002-32014
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/yagi/Uchimura.htm