Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Research Abstract |
細菌のコロニー形成に必要な遺伝子発現を明らかにするため、大腸菌の温度感受性変異株から、39℃で、コロニーを作りにくい(温度感受性、ts)が液体培地では増殖できる株osc(on-solid culturable)を複数単離した。大腸菌全ORFのライブラリープラスミドを接合伝達させ、ts性を相補するものとしてosc変異遺伝子を同定した(いずれも既知遺伝子であったが未発表のためoscとする)。oscA,oscB,oscC,oscD変異株は39℃で定量すると,液体培地に生える頻度(mpn)が固体培地に生える頻度(cfu)の数百倍高かった(野生型では差がない)。oscAは,生体膜生成に関する遺伝子であり,2度のスクリーニングで同一遺伝子の別のts変異体が分離できたので必然性が伺える。oscBとoscCは同一の補酵素生合成に関わる別の遺伝子であり,ここでもその補酵素の必然性が伺える。oscA,oscB,oscCはいずれも必須遺伝子でts変異体のORF内に点変異がみつかったが,残りのoscDは非必須遺伝子でありts変異のORF内に変異がなかったので,oscとしては不適格である可能性がある。 野生型の各osc遺伝子を,araプロモータをもつプラスミドにクローニングして相補させた上で,染色体上の当該遺伝子を欠失させたところ,oscAでは,アラビノース不添加により液体培地で生え固体培地で生えなかったが,アラビノース添加により両培地で生えたので,分離されたoscA(ts)の性質が発現量あるいは機能の低下によることが示唆された(ただしいずれも生える程度が操作を加えない野生型よりも低い)。一方同様の実験で,oscBとoscCではアラビノース不添加でも両培地で同様に成育したので,この実験系によるoscBとoscCのleakyな発現でも表現型発現にとっては十分なレベルだったと解釈された。 oscA,oscB,oscCは,コロニー形成にとってとくに必要な遺伝子であると期待され、分析を進めている。
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