Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
本研究の目的は、深海底熱水活動域に棲息する共生微生物とそのホスト生物の環境応答機構を遺伝子・タンパク質レベルで網羅解析し、近縁の病原性微生物-ヒトの環境応答機構との比較を通じて病原性微生物の誕生過程に迫ることにある。平成22年度は、計画していた目標を全て達成し、想定以上の成果を得た。本年度は、主にインド洋中央海嶺の深海底熱水活動域に棲息し共生微生物を有する固有巻貝において、その環境応答機構を解析するためのメタトランスクリプトーム解析を実施した。ホスト生物を様々な条件下で船上飼育した後、ポリTカラム等を用いて精製したホスト生物のmRNAを逆転写し、全トランスクリプトーム増幅法によりcDNA調整を行った後、試料識別タグを付加し高速シーケンサーを用いて配列を決定した。その結果、5種類の試料を用いて、計約10.1万リード(計28.6Mb)の発現遺伝子配列を得ることに成功した。各々の船上飼育個体に由来するライブラリーでの出現頻度を比較するのみでなく、前年度に求めた各個体における共生微生物の遺伝子発現様式と相関するものを選択し、ホスト生物において環境変動への適応に特異的な発現様式を示す遺伝子群を同定することに成功している。これらの解析により、共生微生物およびホスト生物両者の環境応答に関わる分子機構を、高解像度な発現遺伝子ネットワークとして表現することが初めて可能となった。以上の結果の一部は、複数の学会等で報告した。
All 2011 2010 2009
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (4 results)
Environmental Microbiology (In press)
Microbes and Environment 24
Pages: 281-285