Project/Area Number |
21658073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
奥村 裕 独立行政法人水産総合研究センター, 東北区水産研究所資源生産部, 主任研究員 (80371805)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 貝殻 / 色素 / タンパク / 餌料推定 / HPLC分析 |
Research Abstract |
アワビは、摂餌した藻類の色素により貝殻が着色すると考えられており、貝殻色素を基にアワビの餌となる藻類を探索できる可能性がある。そこで、養殖アワビの貝殻からタンパクを抽出し、アミノ酸の配列情報を基に餌料藻類を同定ができるか検討した。また、餌となるアワビ用人工餌料からDNAを抽出し、塩基配列情報を基に人工餌料に含まれる藻類を同定し、貝殻色素との関係を調べた。養殖アワビの貝殻表面を削り取りタンパクを抽出後、二次元電気泳動を行うと赤や青に着色した数個のスポットが検出された。そこで、ペプチドシーケンサーにより分析すると、2つの貝殻色素タンパクについてアミノ酸配列が得られ、相同性検索からいずれもラン藻のフィコビリン・タンパクの一種であるフィコエリスリンであることがわかった。また、人工飼料から得られた16SrRNA遺伝子やPsbA遺伝子の塩基配列は、褐藻のコンブなどのほかにラン藻(スピルリナ)と高い相同性があった。ラン藻類は赤や青色となるフィコビリン・タンパクを保持することから、人工飼料により飼育されたアワビの貝殻が着色したのは、飼料に含まれるラン藻のフィコビリンが貝殻に固定されたのが一つの要因と考えられた。また、貝殻を構成するタンパクのアミノ酸配列を調べることにより、餌料を推定できることが明らかとなった。 貝塚から出土したアワビ貝殻からタンパクや色素が分析できれば、当時の沿岸環境やアワビの餌料環境に関する情報の一端を知ることができる。そこで貝塚から出土したアワビ貝殻を用いてタンパクや色素の分析が可能か検討した。前述(養殖アワビ)の方法で得た貝殻抽出液を電気泳動し染色したが、タンパクのバンドは得られず、貝殻タンパクはすでに分解した可能性が推察された。一方、HPLCによる色素分析では、最大吸収波長約620nmに色素のピークが観察され、色素は長期間貝殻中に残存し、分析できることがわかった。
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