Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,ファイトプラズマの培養系・形質転換系の確立に向けた基盤を構築することを目的としている.ファイトプラズマは複数種類の染色体外DNAを有するため,これらが形質転換系のシャトルベクターに利用可能かどうかを検討した.特に,ファイトプラズマは昆虫媒介性の植物病原細菌であり,近年そのプラスミドと昆虫適応能との関連性が指摘されている(Ishii et al., Microbiology, 2009).また,昨年度の解析により,Candidatus Phytoplasma asteris, OY strainの昆虫伝搬能喪失株(OY-NIM)におけるプラスミドEcOYNIMにコードされるORF3遺伝子のプロモーターを調べたところ,EcOYNIMでは2つのプロモーターのうち1つは配列が変異し,1つは欠落していることが明らかとなり,プラスミド上にコードされる遺伝子配列は欠失やプロモーターの機能欠損が生じやすいと考えられた.さらに,OY-NIMにおけるプラスミドは,約10年間という短期間に,昆虫伝搬能に関与する遺伝子を含む配列が段階的に欠失していき,最終的にはプラスミド自体がOY-NIMから消失していることが確認された(Ishii et al., Gene, 2009).一般に,細菌プラスミドの多くは,特殊な環境に適応するための遺伝子をコードし,環境の変化に対応して染色体上の遺伝子に比べ速い進化速度を示すことが知られている.そこで,OY-NIMのプラスミドと染色体の進化速度を比較する目的で,プラスミドが段階的欠失を確認したものと同一サンプルから染色体上にコードされる偽遺伝子の一つrecAをクローニングし,配列の比較解析を行った.その結果,同じ約10年の解析期間内にはrecAの配列に全く変異は観察されなかった.ことから,ファイトプラズマのプラスミドは,染色体よりも進化速度が速く可塑性に富むことが示唆された
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