Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
睡眠の制御機構は脳内の特定の神経回路に大きく依存することが分かってきている。本研究では架橋構造を核酸分子内に持つ人工核酸(Locked Nucleic Acid:LNA)を用いて、脳局所のグルタミン酸受容体をノックダウンし、これに伴う行動学的な変化を解析することを試みた。初年度に、培養細胞を用いたモデル実験で、代謝型グルタミン酸1α型受容体(mGluR1α)をノックダウンするための、蛍光タグLNAの有効性を確認したので、本年度は、ラットにおいて、両側の外側膝状体背側にLNAをマイクロインジェクションし、睡眠脳波記録を行った。蛍光タグが正しく外側膝状体背側部に注入された脳サンプルにおいて、ウエスタンブロッティング解析した結果、外側膝状体のmGluR1αタンパク質発現に3割程度の減少が認められた。しかしながら、行動学的には、PLC-β4欠損マウス(mGluR1αの細胞内シグナリング機構が欠損しているマウス)と相似した、レム睡眠異常は観察されなかった。これらのことは、残存して機能しているmGluR1αタンパク質で、十分に睡眠覚醒サイクルを正常に維持できることを示している。より大きなノックダウン効果を得るためには、LNAのデザインの再考を含め、今後さらなる研究が必要であるものと思われる。本年度は、さらに、蛍光タグしたヒスタミンH1受容体アンタゴニストによる睡眠解析の促進効果も検討を行い、その結果、第3脳室への連続微小注入により、ノンレムの増加とレム睡眠の抑制効果を観察した。この場合、蛍光標識は、脳室周囲にのみ観察されたため、抗ヒスタミン剤による睡眠調節には、内側視索前野など、脳の限られた領域での作用が、睡眠調節に十分であることが示唆された。
All 2011 2009
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results) Book (1 results)
British Journal of Pharmacology
Volume: (in press)
PLoS One 4