Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
本研究では、胆汁酸をメディエーターとした肝臓と膵臓とのクロストーク、および胆汁酸によるFarnesoid X receptor (FXR)の活性化を介した膵島保護作用を明らかにすることを目的とし、膵β細胞特異的FXRノックアウトマウスを用いて機能解析を実施することを目標としている。本年度では、米国NIHより入手したFXR FLOXマウスについてC57BL/6Nマウスとの戻し交配を5回実施した。既に所有しているFXR KOマウスに低用量のストレプトゾトシンを連続投与することによって、FXR KOマウスでは野生型マウスと比較して高率に糖尿病を発症することが明らかになった。膵島あるいはマウスインスリノーマMIN6をFXRアゴニストにて処理してトランスクリプトーム解析を行った結果、膵島と培養細胞とでは異なる遺伝子発現プロファイルの変動が認められた。また、HepG2細胞およびヒト初代培養肝細胞を用いてFXRリガンド処理をした結果においても、培養細胞と初代培養肝細胞とでは異なる遺伝子発現プロファイルの変動が認められた。さらに、膵島と初代培養肝細胞においてFXRアゴニストにより発現変動する遺伝子にも共通性は認められなかった。これらのことから、膵島では膵島特異的な転写複合体を形成していることが示唆された。そこでこれを明らかにすることを目的として抗FXR抗体を作成し、免疫沈降プロテオミクス法について検討を行い、FXRを高発現するヒト肝がん細胞HepG2において内在性のFXR転写複合体の同定する条件を確立した。