細胞内の銅イオン制御による筋萎縮性側索硬化症の新規治療
Project/Area Number |
21659222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小野 真一 日本大学, 薬学部, 准教授 (20246862)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2010: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 脳神経疾患 / 薬学 / 蛋白質 / メタロチオネイン / 銅 |
Research Abstract |
変異SOD1は細胞内の銅恒常性を破綻させる(J Neurochem 111,181,2009)との我々の仮説に基づき、平成22年度は筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対するmetallothionein-I(MT-I)の治療薬としての可能性をALSモデルとして汎用されるSOD1^<G93A>(変異SOD1マウス)を用いて行った。細胞内に蓄積した銅を細胞内たんぱく質であるMTが補足し、細胞内の銅環境を修復することを期待した。Recombinant metallothionein-I(r-MT)0.5mg/kgを麻痺発症後から、強制横転後30秒以内に自力で起き上がれない時点(死亡のsurrogate endpoint)まで毎日腹腔内投与した。r-MTは~7%の亜鉛を含むため、対照はPBS投与群と硫酸亜鉛投与群の2群を用意し、r-MT群、PBS群、硫酸亜鉛群の3群(各群24匹)で解析を行った。 発症(onset)はPBS群94±1.3日、硫酸亜鉛群95±2.7日、r-MT群95±2.3日であったが、生存期間(survival)はPBS群122±1.9日、硫酸亜鉛群124±3.2日、r-MT群146±2.8日(p=1.17×10^<-11>)、罹病期間(発症と生存期間の差、duration)はPBS群27±2.0日、硫酸亜鉛群29±2.6日、r-MT群52±7.1(p=1.49×10^<-10>)と生存期間を17%、罹病期間を約78%延長させる効果を認めた(log-rank test)。免疫組織学的にはr-MTは脊髄で運動ニューロンとグリアへの集積を認めた。エンドポイントでは腰髄運動ニューロン数は対照群ではSOD1^<WT>に比べ半減するが、r-MT群では3/4程度の減少に留っていた(ρ<0.01)。さらに抗GFAP、抗CD11b抗体を用いた検討から、r-MT投与群ではグリア細胞活性化の抑制を認めた。変異SOD1およびユビキチン凝集体形成もr-MT投与群では抑制されていた。 変異SOD1マウスは内因性MTを有するので、MT-I/MT-II knockoutマウスとの交配でMT-/MT-IIを持たない変異SOD1マウス(MT欠損SOD1マウス)を作製し、各群15匹で検討を行った。SurvivalはPBS群101±2.7日、硫酸亜鉛群103±3.6日、r-MT群126±2.2日(p=1.11×10^<-6>)、durationはPBS群17±2.4日、硫酸亜鉛群18±3.1日、r-MT群44±2.2(p=5.87×10^<-6>)とsurvivalを23%、durationは240%延長させた。組織学的所見も上記同様、運動ニューロン保護効果を示した。 以上の知見から、MT投与は少なくとも変異SOD1関連ALSの治療に極めて有用と考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)