Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
膵β細胞に発現する甘味受容体の機能と、β細胞機能や糖代謝調節における意義を明らかにするための研究を行った。まず膵β細胞株MIN6細胞を用いて、グルコースによるインスリン分泌に甘味受容体が関与してるかどうかを検討した。グルコースを添加すると、数秒以内という早期にCキナーゼ(PKCα)の細胞膜移行が観察された。これを裏付けるように、同様の時間経過でCキナーゼ基質であるMARCKSの細胞質移行が観察された。MARCKSは非燐酸化状態では細胞膜に局在するが、燐酸化を受けると細胞質に放出されることから、Cキナーゼの活性化を反映しているものと考えられた。同様に、グルコース添加により素早いジアシルグリセロール増加が観察された。これらの素早い反応はグルコース代謝を抑制しても観察され、代謝に依存しない作用であると考えられた。一方、グルコースにより誘発されるこれらの素早い反応は甘味受容体の拮抗剤グルマリン添加や、甘味受容体のノックダウンにより消失したことから、甘味受容体を介した反応であることが判明した。グルマリン添加や甘味受容体のノックダウンによってグルコースにより刺激されるインスリン分泌は有意に抑制された。同様な効果は、遊離膵島を用いた場合にも観察され、とくに単離膵島を用いたペリフユージョンにより、グルマリンや甘味受容体ノックダウンが第一相だけでなく第二相のインスリン分泌も抑制することが明らかになった。以上の結果から、甘味受容体はもっとも重要なインスリン分泌刺激因子であるグルコースの作用に関与していることが明らかになった。
All 2010 2009
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)
Journal of Cellular Biochemistry
Volume: 112 Pages: 318-329
実験医学
Volume: 29 Pages: 1215-1219
PLoS ONE 4