Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
中脳ドーパミン作動性ニューロンのバースト発火活動が報酬予測誤差をコードしており、大脳基底核の神経回路を通じ動物の意志決定に影響を及ぼすという仮説が関心を集めている。しかし、哺乳類脳の生後発達過程において、いつ頃からどのようにこの大脳基底核のドーパミン系神経回路が機能しているのかについては不明である。本研究は、この問題に対する解剖学的な土台を築くため、中脳ドーパミンニューロンへの入力の完成時期を形態学的に明らかにすることを主たる目的としている。平成21年度は、生後発達期の大脳基底核神経回路に関する形態学的研究において前進を見た。まず、生後1週までのラット線条体において、チロシン水酸化酵素免疫活性を強く示す「ドーパミンアイランド」が、小胞性グルタミン酸輸送体免疫活性を強く示す「グルタミン酸アイランド」とほぼ境界線を一にして共に「入力アイランド」を形成する一方、μオイピオイド受容体免疫活性強陽性の「パッチ」領域は、「入力アイランド」よりも一回り小さいことを見出し、責任著者かつ筆頭著者として論文に報告した。また、本研究を通じて開発した新生仔ラットへのウイルス性トレーサー注入技術を応用し、きわめて高感度の順行性トレーサーであるシンドビスウイルスを用いて、単一の線条体の投射ニューロンを標識、再構成することによって、投射軸索および側枝形成の生後発達過程を形態学的に明らかにすることに成功した。これにより、生後8日頃、皮質からの興奮性入力が増える時期に呼応して、線条体投射ニューロンは急速に軸索側枝を発達させることを見出し、日本神経科学学会において発表した。
All 2010 2009
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (14 results)
The Journal of Comparative Neurology 515
Pages: 668-686
NeuroReport 20
Pages: 584-588
Cerebral Cortex 9
Pages: 2065-2077
Nature Neuroscience 13
Pages: 173-179