Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
電気化学、表面科学、触媒化学などの固液界面現象が深く関わる科学技術分野において、界面現象の原子レベルでの制御技術の確立が強く望まれている。そんな中でも燃料電池の電極反応について、原子レベルで根源的理解を追求するために、より広範囲に原子レベルで平坦な表面「超平坦表面」を基板として利用した抜本的な再調査が必要である。本研究課題において初年度である当該年度は、研究実施計画に基づいて、まず超平坦表面の作成技術の確立を実施した。金属単結晶表面を用いた電気化学・表面科学研究はこれまでにも世界中で報告されているが、技術的要因から最も広いテラスでも高々100nm程度の幅をもつ結晶表面しか作成・使用することができず、理想的は平坦表面と比較してそのステップ・表面欠陥密度は高く、それによる影響も無視できない状況であった。また単結晶表面は著しく汚染され易く、電気化学測定を実施する場合にこれまでの使用環境では30分程度で表面汚染されることが確認されている。超平坦表面の耐久時間を延長することは今後の研究開発を実施する上で長時間測定を可能にするだけでなく、研究開発・分析の精度・感度、つまりは信頼性を向上するためにも必要不可欠な技術革新を見出すものである。そこで超平坦表面の電気化学的な創製法の確立と、超平坦表面を評価・活用する実験環境の厳密清浄化技術の開発・確立を行った。極限的に電位制御することで、電気化学的エッチングにより金表面のステップを選択的に溶解させる原子レベルでの反応制御条件を見出した。このことで最大2μmの幅のテラスを示す平坦表面の恒常的作成に成功した。また実験環境の厳密清浄化技術を改善することで、これまで30分程度だった単結晶表面の測定耐久時間を42時間にまで延長する技術・環境の開発に成功した。