Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1. 宇宙の化学的進化を探る上での観測的研究として、私は日本の天文衛星「すざく」を用いて銀河や銀河団とその周辺部の観測データの解析を行った。その結果、我々の銀河系と同様の渦巻き銀河NGC4258の観測結果から得られた重元素組成は我々の銀河系と非常に似ていることを示し、論文として報告した。また、これまでに観測された銀河団の重元素分布を系統的に解析し、重元素量と銀河の光度の間に相関が見られることを示唆し、国際学会で報告した。銀河団は宇宙年齢をかけて進化してきたと考えられるので、これらの結果から宇宙の化学的進化を探ることができる。さらに、銀河団をつなぐ宇宙の大規模構造を調べるために、超銀河団であるSculptor超銀河団周辺部の構造を調べた。その結果、ダークバリオンと呼ばれている未知のバリオン量に制限をつけ、国際学会で報告した。2. 実験的研究として、私はマイクロカロリメータ検出器の開発には欠かせない、絶対温度100mK以下という極低温環境を実現する断熱消磁冷凍機の開発を行った。私は今年度断熱消磁冷凍機の開発を1から行った。鉄ミョウバンを用いた磁性塩カプセルを自作し、その評価を行った。評価のためにはヘリウム温度環境下(絶対温度4K)で約10Aという大電流を超伝導マグネットコイルに印加する必要があるが、それらの構築を行った。その結果、断熱消磁冷凍機をシステムとして立ち上げ、目標であった最低到達温度100mKを達成した。また今後のカロリメータ動作を見据え、磁場環境の整備のための極低温用磁気シールドを製作した。よって、今後カロリメータ動作実験に向けた環境整備が完了したと言える。
All 2010 2009
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (6 results)
Cryogenics (in press)
AIP Conference Proceedings 1185
Pages: 669-672
Publications of the Astronomical Society of Japan 61
Pages: 941-948