Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
人工環境での生活が進み、生活習慣病の増加が危惧される今、消化吸収能力の個体内変動に着目し、食環境がヒトの消化管活動に及ぼす影響を明らかにすることは、SAD(Seasonal Affective Disorder)の予防や症状改善への貢献が期待できるだけでなく、肥満やメタボリックシンドロームの予防や改善策を立てるためにも重要である。本研究ではGSS(Global Seasonality Score)を用い気分や行動の季節変動と消化吸収能力の個体内変動から食環境がヒト消化管活動に及ぼす影響を明らかにするための基礎的知見を得ることを目的とした。昨年度は被験者の選出および測定方法の検討をし、20名の健康な大学生を対象に夏季(7月~8月)に呼気中水素ガステストおよび胃の電気的活動の測定を行った。本年度は昨年度と同一被験者を対象に秋季(10月~11月)冬季(1月~2月)の2つの季節で呼気中水素ガステストによる糖質の口から盲腸までの通過時間と糖質の消化吸収効率の測定、胃の電気的活動の測定を行った。また各季節での食事摂取状況についてはBDHQを用い調査を行った。GSSにより被験者をHigh Seasonality GroupとLow Seasonality Groupに分類し、消化吸収能力や消化管活動、食生活状況の群間比較を行った。データの一部は現在解析中であり、季節間の変動幅が個人間でどの程度異なるのか、またどのような要因によってこれらの差が生まれるのかを今後検討する予定である。