Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
リゾホスホリパーゼD(lysoPLD)はリゾホスファチジルコリン(LPC)からリゾボスファチジン酸(LPA)を産生する酵素である。これらリゾリン脂質には特異的受容体が存在し、これらを介して様々な生理活性を示し、動脈硬化やがんの病態にもかかわることが示唆されている。我々は新規lysoPLDをラット脳より精製し、その精製タンパク質が受容体共役型Gタンパク質のαサブユニットとβサブユニットであることを見いだした。培養細胞に発現させタグにより精製したGαqタンパク質由来のlysoPLD活性は、ラット脳より精製したlysoPLD活性と、基質特異性、カチオン要求性、さらにKm, Vmaxといった酵素学的特性がよく一致しており、同一の酵素であることが示唆された。またGαqサブユニットのMg^<2+>結合部位と推測されるアミノ酸の変異体を発現させたタグ精製画分からはlysoPLD活性が認められなかったことから、GTPase活性およびlysoPLD活性に重要である酵素活性の中心になる領域は同一であることが推測された。しかし、LPCとGIPγSとの間には競合による顕著な活性の変化は見られなかった。GTPase活性を失う変異体のタグ精製タンパク質からはlysoPLD活性が検出されたため、GαqサブユニットのGTP結合部位とLPC結合部位は必ずしも一致しないことが示唆された。今後シグナル伝達における本酵素の役割を解明するにはlysoPLD活性のみに影響を与える変異体の作製が必要であると考えられる。タグ融合Gαqタンパク質のlysoPLD活性は発現させる細胞種によって活性が大きく異なり、このことから活性の発現には別の因子も必要であると考えている。タグ精製タンパク質と共精製されるタンパク質の中には細胞間で違いが見られるタンパク質があり、現在これらについての解析も行っている。
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