Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
近年我々は、正常な細胞周期の進行には、細胞周期進行に伴った細胞内Cl^-濃度の周期的な変動が不可欠であること明らかにした。特に、G_1期からS期への進行には、Na^+-K^+-2Cl^--cotransporter (NKCC)の活性上昇による細胞内Cl^-濃度の上昇を認めた。近年、NKCCやK^+-Cl^--cotransporter(KCC)は、WNK (with no lysine【K】)キナーゼによるリン酸化により活性が制御されることが明らかになっており、WNKキナーゼ自体も細胞内Cl^-濃度により活性がコントロールされている(低Cl^-濃度により活性化される)ことから、WNKキナーゼは細胞内のCl^-センサーとして機能しているものと考えられる。そこで本研究では、WNKキナーゼが細胞内Cl'濃度センサーとして機能し、その結果、細胞内Cl^-が細胞周期進行の制御分子として機能するという仮説の検討を行う。まず、細胞周期のG_1期からS期にかけての細胞内Cl^-濃度変化の詳細を明らかにするため、前立腺細胞株LNCaP細胞をチミジン処理により細胞周期を同調させ、細胞周期のG_1期からS期にかけての滞在時間を明らかにした。その結果、LNCaP細胞ではG_1期の滞在時間が約10時間、S期の滞在時間が約9時間、G_2/M期の滞在時間が約3時間であることが明らかになった。次いでG_1期からS期にかけての細胞内Cl^-濃度の変化を明らかにするため、Cl^-感受性蛍光色素MQAEを細胞周期同調細胞に導入して継時的に測定を行った。細胞内Cl^-濃度は、G_1期からS期にかけて上昇し、S期で最高値を示した。その後、細胞内Cl^-濃度は急激に減少し、G_2/M期に最低値を示した。G_1期からS期にかけては細胞容積も増加していたことから、細胞外からのイオン輸送活性、つまりNKCCの活性化が予想された。
All 2010 2009
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Cell Physiol.Biochem. 25
Pages: 379-388
J.Cell.Physiol. 223
Pages: 764-770