Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ミツバチからTRPチャネルをクローニングし、温度応答性が示されたAmHsTRPAをヒト胎児腎由来細胞に一過性に発現させて、電気生理学的な機能解析を行った。その結果、このチャネルは34℃が主たる活性化温度閾値であることが示された。また、アリルイソチオシアネート(ワサビ成分)、シンナムアルデヒド(シナモン成分)、カンファー(クスノキ成分)に応答することが分かり、温度刺激と化学刺激では、チャネルに対する阻害剤の効果やチャネルの開口機序が異なることが明らかとなった。このチャネルはミツバチの温度走性に寄与するアンテナに発現が見られ、ミツバチ個体の温度走性や上記化学刺激に対する忌避行動が、AmHsTRPAの阻害剤によって消失することが示された。以上の結果をまとめ、現在論文投稿中である。並行してキョウソヤドリコバチのHsTRPA(NvHsTRPA)をクローニングし、その温度応答性を検討したところ、8℃以下という低温に応答するチャネルであることが分かった。AmHsTRPAやNvHsTRPAは膜翅目(Hymenoptera)特異的に生じたチャネルであり、ショウジョウバエなどの双翅目では見られない。カイコ、コクヌストモドキ、コロモジラミを加えた計6種を対象に、TRPチャネルの進化系統樹解析を行い、先に述べたNvHsTRPAの機能解析の結果と合わせて、BMC Evolutionary Biology誌に投稿し、採択された。上記に加え、低温活性を有するチャネルの解析に適したアフリカツメガエルの卵母細胞発現系を用いた2本差し電流測定系の立ち上げを行った。また、ショウジョウバエの異なる12の近縁種から温度走性行動に重要な役割を果たすTRPA1のクローニングを進めており、その機能差が個体の温度嗜好性にもたらす効果を検討していく予定である。
All 2009
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BMC Evolutionary Biology Vol.