Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Retinol binding protein 4 (RBP4)がインスリン抵抗性を惹起することが2005年に報告されて以降、RBP4は2型糖尿病治療薬開発の新たな分子標的として注目を集めている。本研究は、RBP4の尿中排泄を促進する天然化合物を、漢方処方を構成する繁用生薬から生物活性を指標に単離、構造決定し、2型糖尿病治療薬となるかin vivoモデルを用いて証明することを目的としている。RBP4はレチノールの輸送タンパクとして機能することがこれまで知られていたが、先述報告がなされて以降、トランスサイレチン(プレアルブミン)との複合体形成により腎排泄を免れて体内に留まり、インスリン抵抗性を発現すると考えられている。今回我々は、2型糖尿病モデルマウスの血清から免疫沈降法によりRBP4-TTR複合体を採取し、被験薬物を作用させin vitroの実験系により漢方処方に頻用される95種の生薬エキスのスクリーニングを行った。この結果、複合体を解離させる生薬エキスを5種検出した。現在、この活性試験とカラムクロマトグラフィーを組み合わせたactivity-guided fractionation法により、タンパク複合体解離の活性物質の単離を試みているところである。また、並行して上記スクリーニングで検出された生薬エキスを、2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスに経口投与し、血中RBP4量が減少するか検討している。