Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、心筋分化におけるレニンーアンジオテンシン系の役割とアンジオテンシン受容体遮断の効果を解明することである。予定研究期間の初年度である本年度は、間葉系幹細胞やP19CL6細胞といった心筋細胞へ分化することが報告されている細胞を用いてin vitroの実験を施行した。研究代表者が2006年にHypertension誌に間葉系幹細胞には内因性レニンーアンジオテンシン系が存在し、局所アンジオテンシンII産生調節に最も重要な役割を果たしているのは内因性のレニンである可能性があると発表したことから、本研究でも間葉系幹細胞における内因性レニンの存在と重要性を確かめることから開始した。その結果、間葉系幹細胞の内因性レニン発現は調節可能であり、さらには間葉系幹細胞をレニン分泌細胞に分化させることができるということを報告した(Matsushita K et al,J Biol Chem.2010;285:11974-11982)。これまで局所のレニンについては、内因性か外来から取りこまれたものか不明な点が多かった。今回の報告によって幹細胞では内因性レニンが細胞内で産生、貯留され、細胞外へ分泌されると証明された意義は大きく、幹細胞レニンーアンジオテンシン系研究の発展に重要な役割を果たしたと考えられる。現在、間葉系幹細胞とP19CL6細胞の両者を心筋細胞へ分化させる系で分化誘導効率を上げる条件を設定中であり、内因性レニンの調節も含めて各種予備実験を行っている。一般的に心筋細胞への分化誘導効率は低いため、可能な限り誘導効率を上げる条件を設定して実験を進めることが非常に重要と考えている。誘導効率を最大限に上げる条件を決定次第、心筋細胞分化過程での内因性レニンーアンジオテンシン系の動態と外因性アンジオテンシンII投与の効果を検討する予定である。
All 2010
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL.285
Pages: 11974-11982