Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
脂肪細胞特異的な転写調節機構にエピジェネティクスによるクロマチン制御が果たす役割に注目した。次世代シークエンサーを用いて、オープンクロマチン領域を検出するFAIRE-seq、転写因子PPARγ、ヘテロダイマーRXR、ヒストン修飾H3K4me3などのChIP-seqを施行し、3T3-L1脂肪細胞ゲノム上の脂肪細胞特異的な制御領域の同定を試みた。非プロモーター領域のFAIREはエンハンサー型のヒストン修飾(H3K4me1+/me3-)を認め、分化に伴いダイナミックに変化した。機能的にも脂肪細胞特異的な非プロモーターFAIRE領域は脂肪細胞分化で転写が制御される遺伝子、及び脂肪細胞分化や糖脂質代謝関連遺伝子の近傍に濃縮していた。脂肪細胞特異的FAIRE領域の45.3%と11.7%は既知の脂肪細胞分化制御因子であるPPARγとC/EBPαの結合領域とオーバーラップした。脂肪細胞特異的FAIRE領域のDNA配列に対してバイオインフォルマティクスによるモチーフ検索を行ったところ、PPARγやC/EBPとともに、転写因子NFIの結合モチーフが濃縮していた。siRNAによるノックダウンにより3T3-L1の分化が抑制したことから、NFIが脂肪細胞分化に重要な役割を果たしていることが示唆された。一方PPARγのプロモーター領域のヒストン修飾についてChIP-qPCRで検討したところES細胞やMEFにおいてH3K4me3とH3K27me3によるbivalent修飾を認めた。脂肪細胞にコミットしている3T3-L1細胞などではH3K4me3のみの活性型の修飾を示していた。MEFでは脂肪細胞分化に伴いH3K27me3が減少した。H3K27メチル基修飾酵素の過剰発現やノックダウンにより脂肪細胞の分化が制御されることを認め、bivalentドメインの制御が脂肪細胞分化に重要な役割を果たす事が示唆された。
All 2011 2010 2009
All Journal Article (1 results) Presentation (4 results)
口本臨床PPARγアゴニスト-基礎・臨床研究の最新動向- 68(2)
Pages: 181-188