Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Research Abstract |
我々はこれまでに血管ホルモンであるAngiotensinII(AngII)が骨格筋ミトコンドリア量の減少を介して骨格筋脂質蓄積を促進し、インスリン抵抗性を惹起することを見いだした(Diabetes 58,710-717,2009)。AngIIによる骨格筋ミトコンドリア制御に関与する可能性のある細胞内シグナルとしてmammalian target of rapamycin(mTOR)/target of rapamycin complex1(TORC1)系が注目されている。 そこでマウスにTORC1シグナルの選択的阻害剤であるラバマイシンを投与し、耐糖能および運動耐容能に及ぼす影響を検討した。C57b16マウスに対するラバマイシン投与1週間にて耐糖能が悪化し、トレッドミルにより評価した運動耐容能も有意に低下した。組織学的評価ではラバマイシン投与群で骨格筋量および骨格筋線維断面積の減少を認めた。 また加齢による骨格筋変化、耐糖能および運動耐容能の変化を評価するため、8週齢、20週齢、50週齢、100週齢のマウスを用いて検討を行ったところ、50週齢マウスにおいて骨格筋量が減少し、耐糖能および運動耐容能が低下していた。組織学的評価では骨格筋線維断面積の減少を認めた。加齢に伴う骨格筋変化がラバマイシン投与による変化と類似していたため、加齢マウス骨格筋におけるTORC1活性を下流シグナル分子であるリン酸化S6K1のウェスタンブロットにて評価したところ、加齢とともにTORC1シグナルが減弱していた。 これらより骨格筋におけるmTORシグナルの減弱が、骨格筋量と耐糖能および運動耐容能の低下を惹起した可能性が示された。 現在、AngIIの骨格筋mTORシグナルに与える影響をさらに検討するため、レニントランスジェニックマウスおよびAngII type1 receptor(AT1R)ノックアウトマウス、AngII type2 receptor(AT2R)ノックアウトマウスを用いた検討を行っている。 AngIIのmTORシグナルおよび骨格筋量制御に与える影響が解明されれば、AngiotensinII receptor blocker(ARB)などの既存薬剤による骨格筋抗加齢医療が可能となり、糖脂質代謝障害のみならず、運動能低下、quality of life(QOL)の改善にもつながる可能性があり、医療面・経済面からも非常に有用であると考えられる。
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