Project/Area Number |
21791138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石井 貴男 Sapporo Medical University, 保健医療学部, 講師 (40404701)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 神経幹細胞 / アルコール / 転写因子 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
本研究では、精神疾患の病態解明、さらには新たな診断、治療への応用の可能性を念頭に、種々の薬剤を処置した神経幹細胞における神経新生に関連する転写因子(CREBおよびNRSF)活性の解析を行った。神経幹細胞は胎齢13.5日のラット胎仔より取り出し、単層培養法を改良した方法で得た。神経幹細胞から神経細胞への分化機能の評価は,抗MAP2抗体陽性強度をELISA法にて定量化する方法で行った。転写因子の解析については、Western blotting法およびGel Shiftアッセイを応用したNo Shift法にて評価を行った。今回の研究では、種々の脳障害を引き起こすことが知られているエタノールと神経新生促進作用が知られている各種抗うつ薬を用いて検討を行った。エタノールは、神経幹細胞の生存に影響を与えない濃度において、神経幹細胞から神経細胞への分化を抑制した。一方、各種抗うつ薬はこのエタノールの神経分化抑制を軽減させる作用を示した。次に、転写因子CREBの変化を調べた。神経幹細胞にエタノールを処置することによって、細胞分化に大きな役割をもつCREBの活性低下(リン酸化CBEBの減弱)が観察された。また、抗うつ薬のうち,Amitriptyline、およびSertralineはリン酸化CREB活性を増加させる作用を示した。一方、FluoxetineおよびParoxetineは、アルコールによって減弱したリン酸化CREB活性に影響を及ぼさなかった。神経遺伝子転写抑制因子であるNRSFは、エタノールの処置により活性が増加した。抗うつ薬のうち、Fluoxetine, Paroxetine、およびSertralineはNRSF活性を低下させる作用を示したが、Amitriptylineはアルコールによって増加したNRSF活性に影響を及ぼさなかった。これらの結果より、抗うつ薬がエタノールの神経幹細胞分化機能障害を改善させる機序として、神経幹細胞内の転写因子CREB系の変化に加え,神経遺伝子転写抑制因子NRSFの活性調節機構変化の重要性が考えられた。加えて,各抗うつ薬が作用する転写因子のキャラクター解析から、CREB系の促進を主体とするタイプ、あるいはNRSFの抑制を主体とするタイプが存在する可能性が考えられた。
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