Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
「研究の目的」外科的侵襲やその他ストレスにより周術期に生体は容易に高血糖となり、それが合併症の増加・創傷治癒の遅延などを引き起こす。しかし、手術中に使われる麻酔薬がインスリンの作用を細胞レベルでどのように変化するかは不明である。そのため、我々はグルコース・トランスポーターのひとつであるGLUT4の動態を軸に、麻酔薬と血糖調節の関係について調べている。「実施計画」まず初年度ではGLUT4可視化細胞の作製にあたり、次年度でその細胞を用いた解析を進める予定である。「研究実績」研究初年度である平成21年度では、計画どおりまずGLUT4可視化細胞の作製にあたった。(内容)ヒトGLUT4配列にマーカーとしてGFPをタギングしたpCMV6-AC-hGLUT4-GFPベクターを用いてトランスフェクションをおこなった。用いた細胞はマウス3T3-L1細胞を特殊培地で分化誘導した3T3-L1脂肪前駆細胞である。ベクターを調製したのちリポフェクション試薬を用いて3T3-L1脂肪前駆細胞にトランスフェクションをおこなった。そしてGFP発現を、波長フィルターをもちいた蛍光顕微鏡で碓認した。hGLUT4-GFPの発現は約10~30%の細胞でみられ、トランスフェクションの効率の良さが推測された。発現様式はほぼ細胞質全域に広がり感度も良好であった。(意義、重要性)麻酔薬によるGLUT4トランスロケーションの変化を調べるためのhGLUT4-GFP発現細胞を得る事ができた。この細胞を用いて各種薬物添加後の反応を観察することができる。ただ、よりクリアな画像を得るため今後は観察にあたり共焦点レーザー顕微鏡などの使用が必要であろうと考えている。