共鳴ハイパーラマン散乱における分子近接場効果を用いた分子間相互作用の観測
Project/Area Number |
21850006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 林太郎 The University of Tokyo, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70548940)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,574,000 (Direct Cost: ¥1,980,000、Indirect Cost: ¥594,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,274,000 (Direct Cost: ¥980,000、Indirect Cost: ¥294,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ハイパーラマン分光 / 分子近接場 / 非線形ラマン分光 / β-カロテン |
Research Abstract |
既設のハイパーラマン分光装置の試料位置に温度調節装置を追加し、「分子近接場効果」の温度変化依存性の測定を行った。また、同装置の改良により、励起波長選択性の向上を達成し、これまでは測定不可能だった励起波長におけるハイパーラマンスペクトルの観測が可能となった。その結果、いかに挙げる3点について新たな知見を得ることができた。 (1)改良した装置を用い、励起波長を950nm及び、980nmとしてハイパーラマンスペクトルを測定した結果、これまでの励起波長では観測されなかったバンドが新たに観測された。さらに、これらの励起波長領域では溶媒由来のバンドは共鳴効果を受けないことが明らかとなり、新たに現れたバンドは「分子近接場効果」とは異なる機構によって増強された溶質の共鳴ハイパーラマン散乱であると結論した。これまで、β-カロテンの共鳴ハイパーラマン散乱は断熱近似に基づいた振電理論によってよく説明できていたが、新たに現れたバンドこれまでの理論では説明不可能であり、分子の振電状態をより厳密に取り扱う非断熱近似の基での理論の構築が必要であると考えられる。また本結果は今後、「分子近接場効果」を示す他の分子種を探索する際に、励起波長の選択が非常に重要であることを示すものである。 (2)温度調節装置を用い、β-カロテン/シクロヘキサン溶液のハイパーラマンスペクトルの温度依存性を20℃から70℃の範囲において測定した。高温において試料の変性が促進され、ハイパーラマンスペクトルの測定が困難となることが明らかとなった。さらに、この変性は溶媒液体内の溶存酸素に起因することが分かり、窒素バブリングにより回避可能なことを示した。 (3)変性を抑制した結果、この温度領域では温度上昇により、バンドの幅は大きくなる一方、バンドの面積強度はほとんど変化しないことが明らかになった。今後は更に精密なスペクトル測定により、微小な変化を検出することが必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)