先進国社会における特異的な水系感染症ウイルス進化による塩素耐性獲得メカニズム解明
Project/Area Number |
21860003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil and environmental engineering
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 大輔 Hokkaido University, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550368)
|
Project Period (FY) |
2009 – 2010
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
|
Budget Amount *help |
¥2,678,000 (Direct Cost: ¥2,060,000、Indirect Cost: ¥618,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,274,000 (Direct Cost: ¥980,000、Indirect Cost: ¥294,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,404,000 (Direct Cost: ¥1,080,000、Indirect Cost: ¥324,000)
|
Keywords | 水系感染症ウイルス / 消毒 / 遊離塩素 / 変異 / 塩素耐性 / カプシドタンパク質 / アミノ酸配列 / 上下水処理 |
Research Abstract |
本邦を含む先進国社会においては,上下水道整備による衛生環境の向上及び医学的知見の蓄積により,コレラや赤痢といった古くから猛威を奮っていた水系感染症はほぼ封じ込められたと言って過言ではない.ところが,そのような古くからの水系感染症とは異なり,ノロウイルスやロタウイルスなどの腸管系ウイルスによる感染症は,衛生状態の良い先進国社会においてもほとんど制御不可能なのが現状である.この腸管系ウイルス感染症の問題に積極的に対処していくためには,ウイルスが有していると考えられる生存戦略を明らかにし,その戦略の成立要件を崩すことが有効と考えられる.本研究では,特に腸管系ウイルスの感染能力へ直接的な影響を与えることでウイルス学的応答を惹起することが予想される上下水道処理における消毒処理に着目し,「水処理過程における消毒処理が腸管系ウイルス感染ルートの中で選択圧として働いている」という独自の仮説を立て,それを証明することを目指した.実験ウイルスとして大腸菌ファージQbetaを用い,遊離塩素処理と大腸菌による増殖を繰り返す事で遊離塩素耐性株を取得し,ウイルス粒子の外殻タンパク質遺伝子に生じた変異を解析して遊離塩素耐性に寄与するアミノ酸組成に関する情報を得た.その結果,遊離塩素処理によるlog reductionにして最大1logの違いが株間で見られること,さらに遊離塩素に対する耐性が異なる株間において,ウイルス粒子の最外殻に位置する部分のアミノ酸配列に変異が比較的多く見られることが明らかとなった.遊離塩素と最初に接触する外殻タンパク質におけるアミノ酸組成が遊離塩素耐性に関わっていることが示唆される結果であり,どのようなアミノ酸変異が遊離塩素耐性をもたらすのかについて今後詳細に見て行くことが必要であると考えられた.
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)