Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
申請者は、インスリン様成長因子(IGF)シグナルを仲介するインスリン受容体基質(IRS)による新しいRNA制御機構の解明を目的に研究に着手した。その結果、1.IRSと結合するRNAを特定するため、IRS-1を293細胞に発現し、相互作用するRNAをCLIP(cross-linking immunoprecipitation)法によって解析、約40種のmRNAと4種のrRNAを同定した。同定されたmRNAは、シグナル伝達、小胞輸送、RNA代謝などに関わるタンパク質をコードしていることがわかった。2.種々の領域を欠いたIRS変異体を細胞に発現し、CLIP法で解析した結果、IRSのC末端側の特定の領域がRNAと結合することがわかった。3.MCF7細胞の細胞突起伸長をタイムラプス・イメージングによって観察し、タンパク質翻訳阻害剤の処理によってIGF-I刺激に応答して起こる突起伸長が抑制されることを初めて発見した。IRS-2がIGF-I刺激によって突起伸長部位に集積すること、IRS-2の発現抑制によって突起伸長が抑制されることを併せると、「IGF-I刺激に応答してIRSと結合しているmRNAが翻訳され、翻訳産物がIRS近傍でおこる細胞突起伸長を促進する」という作業仮説が考えられた。今後は、今回同定したIRS結合mRNAに焦点を当て、これらのmRNAのIGF-I刺激による翻訳制御や、細胞運動・神経突起伸長に果たす役割を明らかにしていく予定である。
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日本未熟児新生児学会誌 22
Pages: 19-25
ホルモンと臨床 57
Pages: 307-317
http://endo.ar.a.u-tokyo.ac.jp/lab/index0.html