Budget Amount *help |
¥2,626,000 (Direct Cost: ¥2,020,000、Indirect Cost: ¥606,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,326,000 (Direct Cost: ¥1,020,000、Indirect Cost: ¥306,000)
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Research Abstract |
具体的内容:倍数性は植物ゲノムの特徴であり、被子植物の約50%が倍数種であるとも言われている。これまでに申請者は、パンコムギの花器官形成ABCDEモデルの構築と、そこに同祖遺伝子がどのように関わるかの解析を行ってきた。そして研究過程における1つの成果として、パンコムギ品種「Chinese Spring(CS)」ではクラスE遺伝子であるWLHS1が、多様な分化を遂げていることを明らかにした(Shitsukawa et al., 2007)。当該年度は、当初の計画通り、異常型WLHS1-Aと正常型WLHS1-AおよびCS由来のWLHS1-Aから挿入未知配列を除去した遺伝子領域をターミネーター上流に連結したコンストラクトを作成することができた。今後、これらのコンストラクトを導入した場合、同祖遺伝子の発現がどのように変化するかを詳細に解析したい。一方で、当初の計画に加え、当該年度では倍数性進化のもたらす様々な生理的な変化の解析を行った。コムギの場合は倍数化に伴って小花数や穀粒(稔実種子)数が増加することが知られ、1小穂あたりの穀粒数は一般的に2倍体コムギ(ヒトツブコムギ)で1~2粒、4倍性コムギ(フタツブコムギ)で2~3粒、6倍性コムギ(パンコムギ)では3粒以上が形成される。そこでSEMや分裂組織マーカー遺伝子Wknox1を用いて、異なる倍数性種間での比較解析を進め、倍数性の差異が収量形質に与える影響について考察した。その結果こうした2倍性、4倍性、6倍性コムギの穀粒数の違いは小穂分裂組織の有限性(determinacy)の変化というよりも、小穂分製組織から小花分裂組織が分化する"タイミング"の差異によるものであることを明らかとなり、原著論文として成果をまとめることができた(Shitsukawa et al., 2009)。種子数の増加は、植物の生存戦略機構という面だけでなく、生産性向上にも繋がる農業上重要な現象である。これらの成果は、さらなる応用研究に向けて、倍数性進化がもたらす発生生物学的な変化の一端を解明したものといえる。
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