Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
血管内皮細胞は刺激を受けると細胞表面から、由来する細胞の膜分子を含んだマクロパーティクル(EMP)を循環血液中に放出する。EMPは血管内皮細胞に特異的な抗原をもとにフローサイトメトリーを用いて評価される。EMP表面に由来細胞の複数の表面分子が共発現していることに目し、今回我々はEMPの表面抗原を定量評価することにより、肺動脈性肺高血圧症の血管内皮細胞の分子の発現異常を検出できるのではないかと考え研究計画をたてた。肺高血圧症の家族歴のある方や新規発症の膠病患者など高リスク群の登録を開始し、発症の有無と合わせて今後それらの分子の変動を前向きに追跡する計画であるが、平成21年度末までに肺高血圧の合併例、非合併例を含めて膠原病患者50件の採血検体が採取され、凍結保存された。各群30例を目標としており今後、も体採取を継続する。平成21年度中に新たに発表された論文からの知見を含め、Caveoli-1、Notchシグナル系、BMPシグナル系など評価すべき(発症に関連すると考えられる)抗原を選び、蛍光色素標識の抗体を14種購入した。近日中にフローサイトメトリーでそれらの抗原を定量評価する予定で、現在添加する抗体量などの最適条件を検討中である。EMPで検出されるであろう分子発現異常の、培養細胞系を用いた再現を計画している。現在ヒト臍帯静脈血管内皮細胞の培養系の確立を行っており、その細胞を用いてフローサイトメトリ―および定量PCR、ウェスタンブロットでの発現分子の定量評価法を検討している。またヒト肺動脈血管内皮細胞、肺動脈血管平滑筋細胞、及びそれらの培地を購入しており、臍帯静脈血管内皮細胞での実験系がい次第それらの細胞での検討を行う予定である。