Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
癌免疫治療においては患者由来の血液細胞にウイルスベクターを介しex vivoで治療遺伝子を導入し、生体内で抗腫瘍免疫反応を誘導する治療法が有望であるが、その細胞調製は複雑であり、高品質な細胞を安定して供給できるシステムづくりが臨床試験研究の推進に不可欠となっている。そこで、本研究では、安全性が高く、効果的な遺伝子導入手法を開発する目的で、フッ素樹脂製ガス透過性バッグを用いた閉鎖系細胞調製システムを構築し、さらにこれに遠心力を併用した遺伝子導入工程にも拡大することを試みた。平成21年度は、各工程における閉鎖系細胞調製システム化の検討を行った。遺伝子導入工程については、遠心力を併用する手法を開発するため、培養バッグに対応した遠心機バケット用のラックの設計を開始した。遺伝子導入を除く、細胞分離-培養-細胞回収-凍結保存の4工程については、これらを完全閉鎖系とするため、これまでに部分的な閉鎖系培養システムが導入されている樹状細胞を用いた癌ペプチドワクチン療法の臨床研究をモデルとして、その規模を1/20とした系を作成した。この系において、ヒト末梢血単核球から分離した単球をGM-CSF,IL-4存在下で培養して未成熟樹状細胞を調製し、細胞数・生存率測定、および、細胞表面抗原発現解析を行い、遺伝子導入前の細胞特性に関する情報を得た。現在、これらの評価項目をもとに遺伝子導入手法の最適化を行っているところである。