Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
制御性T細胞は免疫応答を負に制御するCD4T細胞のサブセットであり、過剰な免疫応答や自己免疫の抑制に必須の細胞である。転写因子Foxp3はTregの発生・分化、抑制機能の発現に必須なマスター遺伝子として同定された。また様々な関節炎モデルマウスにおいてTregを除去すると疾患が悪化するという報告や、Tregの発症前の移入で一定の治療効果を認めるという報告、抗TNF-α抗体投与により疾患の寛解に伴って活性化Tregの細胞数が増加するという報告は、Tregをターゲットとした治療法の有用性を示唆する。一方で、発症後にTregを移入してもその抑制効果は十分に得られないという報告もあり解決すべき点てある。Th17などの炎症促進細胞とのバランスや、抑制機能分子Foxp3の発現の安定化を視野に入れたT細胞免疫の制御法を確立することが、関節リウマチを制御する上で重要であると考えられる。本年度では主に、解析に必要な実験系のセットアップを行った。第2に、リウマチを発症した関節から単離したさまざまな種類の関節構成細胞とT細胞のサブセットを試験管内で共培養を行った。その結果、特定の細胞群がT細胞分化に影響を与える可能性を見出した。このことは免疫抑制と促進のバランスの制御を視野に入れたT細胞免疫の制御法を確立上で有用な知見を与えると考えられる。今後生体内でのT細胞分化の検討を行い、T細胞免疫を介した関節リウマチ制御法の確立を目指す。