Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
線維化の制御は心筋梗塞後の心機能再生の促進という意味において重要な位置を占める。しかし、線維化の分子レベルでの制御機構についてはほとんど解明されていない。また、心筋細胞の梗塞後における壊死と線維化は時間的、空間的に密接に結びついているが、実際に分子レベルでこの二つのプロセスに相互関係がある可能性についてはほとんど研究されていない。我々は、最近sFRP2 (Secreted Frizzled Related Protein 2)という線維芽細胞由来の分泌性タンパク質がコラーゲン前駆体のプロセッシングを促進することにより虚血性心筋梗塞における組織の線維化レベルを上昇させることを発見した。さらには、sFRP2が心筋梗塞後の心機能低下にも深くかかわっていることを明らかにした(Nature Cell Biology, 2009;11:46)。そこで本研究ではsFRP2の機能の解析を中心に研究を展開する。今年度は先ずsFRP2が線維芽細胞内で効果的にWntシグナルの抑制することを見出した。現在はsFRP2がどのWntリガンドを抑制しているのかを解析している。さらにはPcolce-1の遺伝子欠損マウスを用いて、心筋梗塞にどの様に影響があるかも解析し始めたところです。また、sFRP2とPcolce-1の二つの遺伝子を両方欠損するマウスを作成した。このダブル欠損マウスを現在、心筋梗塞モデルにおいて解析しているところである。