Research Abstract |
○研究目的:定在波屈曲振動円板を用いた,新しい非接触駆動方式の超音波モータを試作し,その動作検証を行うことによって,非鉛化可能な圧電単結晶を用いた非接触超音波モータの実現の可能性を得る。 ○研究方法: 1.圧電振動円板とロータおよび周囲の空気の相互作用を考慮した有限要素法解析を用いて,2枚の定在波屈曲振動円板で挟まれたギャップ空間内の音場の周波数特性や時間変化を解析した。 2.上記の解析結果に基づいて,ロータの上下に2枚の定在波屈曲振動円板ステータを配置した構造の非接触型超音波モータを作製した。 3.ステータの電気端子からギャップ空間の音響インピーダンスを実測し,その特性から最適構造の確認を実験的に行った。 4.試作した非接触超音波モータにおける,2つのステータの位置角度差や駆動電圧の位相差,ギャップ長に対するモータ特性を測定し,本研究で提案するロータの非接触駆動方式の原理検証を実験的に行うとともに,従来の同型縮退モードを利用した駆動方式との特性比較を行った。 ○研究成果: 1.定在波屈曲振動円板を用いてロータの非接触回転に成功し,非鉛化可能な圧電単結晶を用いた非接触超音波モータの実現の可能性を得た。 2.2つの定在波屈曲振動円板ステータの位置角度差を振動モードの円周方向周期の1/4にし,かつ,駆動電圧の位相差を90°にしたときに,ロータ上下のギャップ内の音場が円周方向の進行波になるという有限要素法解析結果を得た。また,そのとき,実験的に最も高いモータ特性が得られ,約3Vという低い駆動電圧で,約2200rpmの高速回転を実現した。 3.従来の同型縮退モードを利用した駆動方式の非接触型超音波モータと比較して,最大回転速度で約1.3倍,最大起動トルクで約1.8倍,最大効率で約2.6倍の特性の向上を実現した。また,従来よりも約2.5~6.0倍の比較的広いギャップ長範囲で動作し,駆動電圧は約1/4倍に低電圧化できた。
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