Project/Area Number |
21928012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
白田 亨 Yamagata University, 医学部附属病院, 主任臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥530,000 (Direct Cost: ¥530,000)
Fiscal Year 2009: ¥530,000 (Direct Cost: ¥530,000)
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Keywords | コリンエステラーゼ / シクロホスファミド / プラリドキシムヨウ化メチル |
Research Abstract |
【目的】血液中のコリンエステラーゼ(ChE)は肝臓の蛋白合成能を表す肝機能検査の一つであり、通常は血液中のアルブミン濃度(A1b)と連動して変動するが、これまでChEのみ単独で低下する症例をしばしば経験した。これら患者を調査すると化学療法開始直後にChEが急激に低下しており、使用している薬剤とChEの低下について検索すると、抗腫瘍剤であるシクロホスファミド(商品名エンドキサン)の使用によりChEが低下する報告があるが、その機序は不明であった。そこで本研究では、シクロホスファミド使用後のChE低下機序の解明を目的とした。 【対象】日常検査の中からChEが急激に低下している症例を検索し、シクロホスファミド使用が確認され、すべての検査終了後に検討に必要な量の残血清が得られた6例の患者血清を用いた。 【方法】1)患者血清と健常者血清を等量混和し、直後および30℃1時間加温後にChEを測定し、それぞれの回収率を求め、患者血清中のChE反応阻害物質の存在を検討した(回収試験)。2)ChE酵素活性中心に結合した有機リン剤を切断解離させる作用をもつプラリドキシムヨウ化メチル(商品名PAM)を患者血清に添加し(終濃度0.125g/L)、ChEの再活性化を検討した。 【結果】1)患者3例の回収試験での回収率は、直後で平均98%(98~99%)、30℃1時間加温後で平均99%(99~100%)でありChE活性への影響は認められなかった。2)患者血清にPAMを添加すると、患者4例において37℃1時間加温でChEは平均199%(175~261%)、37℃2時間加温で平均226%(193~313%)まで再活性化された。しかし、患者2例においては変化が認められなかった。 【まとめ】1)回収試験の結果、患者血清にはChE酵素活性やChE測定系を阻害する物質およびChEと結合して酵素活性を阻害する物質は認められなかった。2)患者血清へのPAMの添加によりChEが再活性化される症例が確認され、PAMにより解離される物質の結合によりChE活性が低下していることが明らかになった。
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