階層的ボラティリティ・共歪度・共分散の資産価格への影響の分析
Project/Area Number |
21H00727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (50261780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 俊毅 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (70303063)
中村 信弘 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任教授 (90323899)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 階層的ボラティリティ / ボラティリティ・リスク・プレミアム / 共歪度 / 共分散回帰 / 低リスク・アノマリー / 分散リスクプレミアム(VRP) / 歪度リスクプレミアム(SRP) / 確率ボラティリティ / 自己・相互励起ジャンプ / 最適ポートフォリオ / パラメータ推定誤差 / 曖昧さ回避 / 低ベータ・アノマリー |
Outline of Research at the Start |
近年、利用可能なデータの増大とボラティリティ(変動性)指数VIXや関連諸指数の実用化により、資産収益率の変動性と将来収益率の関係を探る研究が拡大している。この潮流を受け、本研究は、資産収益率の変動性と資産間の収益率の共変動が将来の資産収益率に与える影響を分析する。具体的には、VIX の上方・下方分散で資産価格の低ベータ・アノマリーを説明できること、ボラティリティ指数の期間構造を用いることで収益率の予測力が上昇すること、資産収益率の共変動と企業間の取引関連データを用いることで収益率の変動の伝播を把握できることを示し、ボラティリティや共変動が資産収益率に与える影響についてより深い知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績は以下の通り。分散リスクプレミアム(VRP)と歪度リスクプレミアム(SRP)については、それらを説明変数にした原系列資産の累積リターンの予測可能性に関して、リターンと確率分散の相関であるレバレッジ・パラメータの大きさが鍵となることがこれまでの研究からわかったので、本年度はこのレバレッジ・パラメータに確率的な時変構造を入れたモデルを開発し、VRPとSRPの実証研究を行った。モデル比較のため、同じサンプルデータに対して自己励起型ジャンプモデルを用いた研究を行い、市場が平常時か混乱時かで、それぞれのモデルの特徴を分析した。その他、共和分関係がある複数の資産間で、それぞれのVRPが相互依存関係をどの程度もつか定量的に分析するモデルを開発し、S&P500とNASDAQ、S&P500とSTOXXの間でVRPの波及効果を研究した。また、株式と原油間のVRPの関係に関する論文が、学術雑誌に掲載された。さらに、低リスクアノマリーの研究について、ベータの変動に対するリスクプレミアムから説明するアプローチに従い、動的ベータモデルを仮定した日本株の分析を行った。一方、複数の資産の収益率間の共変動とその変化の分析については、株式や債券の共分散構造の変化の推定、および共分散構造の変化を企業間取引関係データから捉える分析を試みた。企業間取引データについてはデータ欠損に関する課題が深刻であり、別のデータや分析手法の模索を開始した。投資家がパラメータ推定に対して持つ曖昧さ(ambiguity)を回避しようとする行動に注目し、資産価格データから計算される投資家の曖昧さ回避行動に関して行った理論分析の論文の学術雑誌への掲載が決まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、VRPとSRPについてレバレッジ・パラメータに確率的な時変構造を入れたモデルを開発し、自己励起型ジャンプモデルを用いて平常時と混乱時における特徴を分析した。また、複数の資産間でのVRPの相互依存関係を分析し、関連論文を学術雑誌に掲載した。さらに、低リスクアノマリーの研究について、動的ベータモデルを仮定した日本株の分析を行った。一方、複数の資産の収益率間の共変動とその変化の分析については、株式や債券の共分散構造の変化の推定、および共分散構造の変化を企業間の取引関係データから捉える実証分析を進めると共に、資産価格データから計算される投資家の曖昧さ回避行動に関する理論分析の論文を学術雑誌に掲載した。このように研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、低ベータ・アノマリーに関して、VRPとSRPを併せて分析できるより一般化した確率分散ジャンプモデルを構築し、ジャンプ強度過程を確率分散依存型や自己励起的なものに拡張するモデル化に焦点をあてつつ、共歪度や信用リスクおよびベータ変動のリスクプレミアムの双方のアプローチから分析を進める。第二に、開発した共和分関係がある複数の資産間でのVRPの相互依存関係のモデルを用いて、株式とコモディティの間のVRPの伝播の構造を分析する。第三に、資産収益率の分散・共分散の時間変動について、資産価格データやデリバティブ価格データなどに分析データの範囲を拡張し、投資家がパラメータ推定に対して持つ曖昧さ(ambiguity)を回避しようとする行動から、投資家の曖昧さ回避行動と資産間の共分散構造の変化を検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)