攻撃力の非対称性と移行による外集団攻撃の心理メカニズムの解明
Project/Area Number |
21H00934
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
三船 恒裕 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (00708050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上條 良夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40453972)
多湖 淳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80457035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 外集団攻撃 / 内集団バイアス / 先制攻撃 / 内集団ひいき / 先制攻撃ゲーム / 非対称 / 集団間囚人のジレンマ・差の最大化ゲーム / 集団間葛藤 |
Outline of Research at the Start |
戦争などの集団間葛藤問題の解明のため、社会心理学では人々が持つ内集団バイアスに着目した研究がなされてきたが、外集団攻撃が生じる条件の解明は進んでいない。本研究では外集団攻撃が生じる最小の条件を探るため、自分が相手に対して持つ攻撃 力と相手が自分に対して持つ攻撃力が異なる「攻撃力の非対称性」と、攻撃力が時間と共に変化する「攻撃力の移行」に着目する。実験室実験とウェブ実験によってこれらの要因が外集団攻撃を生じさせるか否か、どのような心理や生理反応が外集団攻撃に関与するのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は攻撃力の非対称性を操作した実験の再現実験を行った。私が実施した先行研究において、先制攻撃ゲームを用いた場合、攻撃力の低い方が高い方に対して行う攻撃行動の生起率が内集団相手の場合よりも外集団相手の場合に高くなる現象が確認されている。一方、攻撃力の高い方が低い方へ攻撃を行う場合や、攻撃力が同じ場合に相手に攻撃する場合には、内集団相手と外集団相手で攻撃率に差が見られなかった。ただし、事後的に行った検定力分析の結果、サンプルサイズが不足している可能性がある。そこでpreregistrationを行い、再現実験を行った。実験デザインは先行研究と同様で、一部、被験者にわかりやすいようにインストラクションなどを変更した。2022年度中に実験を実施し、280名程度のデータを得ている。しかし、目標とするサンプルサイズまではまだ100程度足りないため、2023年度も引き続き実験を行う。予定しているデータを収集し終えてから分析する予定である。 また、集団間攻撃の反対の現象として、集団間協力が生じる条件を解明するための実験も行った。実験参加者が二つの実験ゲームを行う場合、最初のゲームでの行動情報が次のゲームにも伝わる場合は内集団ひいきが生じず、集団間協力が生じると予測し、ウェブ実験を実施した。実験1を行った後でregistered reportとしてEvolution and Human Behavior誌に投稿し、stage 1の論文としてアクセプトされている。Study 2のデータも2022年度末に取得しており、2023年度中に分析して投稿する予定である。 集団対抗先制攻撃ゲームを用いた実験の準備も行い、おおよそ実験プログラムが完成している。2023年度中に実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人間の先制攻撃ゲームを用いた攻撃力非対称性効果の検証については順調に進んでいる。集団対抗の先制攻撃ゲームに関してはやや遅れているが、代わりに新たに計画して実施した集団間協力の実験を実施し、registered reportのstage 1としてアクセプトされている。総合的に見れば順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、攻撃力の非対称性実験に関して過去の実験と一貫しない結果が得られた場合、その原因を検証するための更なる追試実験を行う可能性がある。その場合には高知工科大学と早稲田大学の両方の実験設備を用い、効率よくデータを収集する。さらにウェブを用いた実験も検討する。ウェブを用いた実験の場合、参加者が実験に対して十分に注意を払わないという問題や、リアルタイムでのやり取りということを意識しないために「相手から攻撃されるかもしれない」という予期がうまく働かない可能性がある。これらについては、実験開始前の理解度チェックを入念に行なったり、リアルタイムで同時に実験に参加してもらうようにするなどして問題を克服する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)