非がん性疼痛に対するインターネット支援型認知行動療法の開発と脳科学的機序の検討
Project/Area Number |
21H00953
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小杉 志都子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00317249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若泉 謙太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00528862)
中川 敦夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30338149)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / インターネット支援 / 脳機能 |
Outline of Research at the Start |
慢性痛に対する認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)は、世界的に有効性が認められた治療法であるが、本邦では慢性痛に対する保険適応がなく、実施できる医療機関はほとんど無い。本研究では、従来の対面式CBTと比較してセラピストの育成コストが低く、様々な医療機関で利用できるようにデザインされたインターネット支援型CBT (internet-based CBT: iCBT)を開発し、その多面的有効性とMRIを利用した脳画像解析による脳科学的効果の検討を行う。iCBTを慢性痛の新しい治療法として位置づけ、将来的に慢性痛を対象としたCBTの保険収載を目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
一次性慢性痛は中枢神経系の可塑的変化を伴うとされる難治性疼痛であり、一般に手術適応がなく、投薬や神経ブロックに反応しにくい。そのため、効果的な治療の開発により、国民全体の健康寿命の延伸が期待できる。認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)は、患者の歪んだ認知に働きかけ、行動変容を促す心理療法であり、中枢神経系を調整できる可能性がある。本研究の目的は、すでにうつや不安で有効性が示されているインターネット支援型CBT(iCBT)を慢性痛版に改良し、一次性慢性痛に対するiCBTの有効性を縦断的に示し、さらに脳画像解析を行うことで、iCBTによる疼痛の改善に、脳機能ネットワークの再構築が機序として関与していることを証明することである。一次性慢性痛患者40人を対象とし、iCBT (週1回、45分、全7回)の開始前と終了後(約3か月後)、および6・12か月後に、質問票を用いた多面的な症状(痛み、生活の障害度、認知・情動、睡眠など)の評価、反復熱刺激装置による残感覚検査、安静時機能的MRIによる脳画像検査を行うことを予定している。2021年度はiCBTのセラピストの教育育成を行い、質の高いiCBTの提供を可能にしたことは大きな成果である。2022年度は総数28名の被検者を登録し、そのうち16名の被検者で治療前後の多面的症状評価、残感覚時間、および安静時機能的MRI画像のデータの取得を行った。データ取得も滞りなく、計画通りに遂行されている。2023年度は引き続き、目標被検者登録数の達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はすでに倫理承認を得ている。 本研究で実施される慢性痛版のCBTは上記うつ病版のiCBTをもとに開発されており、コンテンツの作成は終了している。うつ病版同様、ウェブサイト上で提供される準備も整っている。また、うつ病版のiCBTの実施経験者およびセラピストの育成経験者も研究チームにおり、慢性痛版のiCBTを適切に実施する準備が整っている。痛み診療センターには医師、看護師、公認心理師、理学療法士などの多職種が診療に関わるシステムが構築されており、担当するセラピストがiCBTを実施するトレーニングを受け、実施環境を整えている。質問票を用いた多面的な症状(痛み、生活の障害度、認知・情動、睡眠など)の評価のためのタブレット問診システムを作成し、すでに使用している。本研究は痛みのバイオマーカーとして、熱刺激装置を用いた残感覚測定装置および安静時機能的MRIを撮像する。2021年度および2022年度で、28人の被検者が登録されており、すでに16人に対してiCBTが実施された。治療介入前後の質問票を用いた多面的な症状の自記式評価、残感覚測定、および脳画像データの取得も滞りなく行われている。痛み診療センターでは年間約10000万人の慢性痛患者が受診しており、本研究の組み入れ基準を満たす患者数も多い。今後も順調に被検者登録が遂行できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者施設の痛み診療センターに通院する痛み有症者は1週間あたり約150人で、目標被験者数の確保は十分に可能である。また、可及的速やかな縦断的データ取得のために、2022年度にiCBTセラピストの増員を行った。2021年11月から2023年3月までの期間で28人の研究参加登録が済んでおり、2023年度の12月までに40人の登録を終える予定である。脳画像撮影には研究者施設の3テスラのMRIを使用しており、2024年3月までにすべての被験者でCBTのセッションを終了を目指す。データ入力および脳画像データの前処理は順次行い、データが揃った段階で、CBTの効果を統計学的に検討する。2023年は、iCBT介入による短期的効果を国内学会および国際学会で成果報告し、同時に国際的な英文学術雑誌へ投稿する論文を作成する。また、iCBTの長期的効果についてのデータ取得を引き続き行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)