Project/Area Number |
21H00963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 雅史 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20835128)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
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Keywords | キンカチョウ / 模倣学習 / 文化伝達 / 歌 / 音楽 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、人類の文明発展にも寄与したと考えられる文化伝達のプロセスを理解するため、ヒトと、ヒトのように自発的に音声の文化伝達を行う能力をもつキンカチョウという鳥を対象として、長期的に新奇な歌を伝達させる実験を行う。この、文化伝達の種間比較という稀有な試みによって、本研究は、ヒトとキンカチョウの歌において世代を超えて伝えられていく文化的形質を明らかにし、こうした形質が進化していくプロセスを解析する一方で、歌を模倣しているときのヒトとキンカチョウの生理応答や神経活動を比較することで、文化伝達を駆動するメカニズムを多角的に探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人の文明発展にも貢献したと考えられる文化伝達のプロセスを理解するため、ヒトと、ヒトのように自発的に音声の模倣学習を行う能力をもつキンカチョウという鳥を対象として、長期的に新奇な歌を伝達させる実験を行っている。これまで成鳥のオスのキンカチョウがさえずる映像を教師モデルとして歌の伝達を行ってきたが、対面での学習に比べると文化伝達効率が劣る傾向が認められている。そこで本研究は、映像の最適化を探索する一方で、社会的相互作用による文化伝達も試みており、特に、社会的に隔離された幼少期のキンカチョウを用いた実験においては、典型的なキンカチョウの歌の音響的特性から離れた電子音でも学習可能であることが明らかになりつつある。この電子音を伝える系統を加えて伝達する文化の幅を拡張しつつ、本年度は、キンカチョウの文化伝達を第4世代まで完了することができた。また、ヒトの文化伝達の実験については、日本語話者の声楽家の協力を得て、新奇な文化としての刺激セットを決定することができ、開始ピッチと終了ピッチをランダムに調整した無調の歌を用いることで、第2世代まで文化伝達実験を完了することができた。この実験によって、教師モデルの映像情報の有無などの社会的要因が文化伝達効率に影響を及ぼすことも示唆されているため、来年度は、この実験パラダイムを採用して刺激セットを拡張し、当初の予定通り、第6世代までの文化伝達を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度のキンカチョウの文化伝達では、電子音などの新奇な文化の導入を採用して、伝達する文化の範囲の拡張をし、文化伝達を促進する要因の探索を行いつつも、当初の目標であったキンカチョウの世代間文化伝達を安定して続けることができた。また、ヒトの文化伝達についても、前年度に懸念されていた研究競合の課題を解決して、新しい刺激作成や実験手続きの再検討をした結果、第2世代までのヒトの文化伝達実験を遂行することができており、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度も、2022年度までで設定できた刺激セットと伝達形式による文化伝達実験を継続し、当初の予定通り第6世代までの文化伝達を、キンカチョウとヒトを対象に完了する予定である。キンカチョウを用いた文化伝達実験では、あらかじめ録画されたパフォーマーとなる成鳥のオスのキンカチョウが歌っている映像を用いた文化伝達では、いまだ対面学習と遜色ない伝達効率は達成できていないため、さらに伝達効率を高められる刺激呈示方法を探索する予定であるが、その一方で、社会的に隔離されたキンカチョウを利用することで、社会的相互作用によって伝達効率を高める方法も取り入れる予定である。特に社会的相互作用を利用することで、キンカチョウの自然な歌からかけ離れた電子音をキンカチョウに伝えることが可能であることが明らかになりつつあるため、これらの系統におけるリズムやピッチ、音色を分析し、その文化伝達への影響を明らかにしたい。また、ヒトの研究においても、声楽家の協力を得ることで、新奇な文化としての刺激セットを決定することができ、すでに教師モデルの映像情報の有無などの条件が、文化伝達効率に影響を及ぼすことも示唆されているため、来年度はこの実験パラダイムを継続使用して第6世代まで文化伝達を完了し、世代を超えて伝えられやすい文化的形質の特徴を明らかにすることを目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)