Superconducting order parameter and uniaxial-pressure induced magnetic order in layered ruthenium oxide
Project/Area Number |
21H01033
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
菊川 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, 主幹研究員 (00442731)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
|
Keywords | Sr2RuO4 / 超伝導 / 対称性 / 単結晶 / 磁性 / ルテニウム酸化物 / 高品質単結晶 / 超伝導対称性 |
Outline of Research at the Start |
層状ペロフスカイト構造をもつSr2RuO4 は,温度1.5ケルビン以下で新奇な超伝導状態が発現する.超伝導の舞台となる常伝導状態は,電子間の相互作用が強いことを反映した,フェルミ流体的な電子状態で理解できる.一方で,超伝導状態についてはその発現機構も含めいまだ明らかになっていない.Sr2RuO4の超伝導は,結晶内のわずかな不純物により消失する.そこで本研究では,研究の大前提となる高品質な単結晶を育成し,それを用いた精密物性測定をおこなう.それにより,銅酸化物・鉄系超伝導などの電子間の相互作用が強い物質の超伝導状態について,より普遍的な理解を得ることが目的である.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「層状ルテニウム酸化物の超伝導秩序変数と一軸圧力誘起の磁気秩序」の目的は,強相関電子系の典型物質であるSr2RuO4の超伝導秩序変数の決定につなげることである.最近,Sr2RuO4の非従来型超伝導状態は,われわれの育成した高品質試料において超伝導転移温度以下でスピン磁化率が減少したことから,スピン一重項状態が実現していることが明らかになった.このことは,Sr2RuO4の超伝導秩序変数について,四半世紀ぶりに再考を促すこととなった.一軸圧力下での実験により,ミューオンスピン緩和実験から,超伝導転移温度と時間反転対称性を破る温度の分離を明確に観測した.また,さらなる1 GPa以上の一軸圧力下で磁気秩序も発見した.一方,比熱測定からはそのような分離が見えてはいない.これらの結果について,今後整合性のある解釈・さらなる研究を進める予定である.2021年度では,研究の根幹をなす結晶育成についても進展できた.Sr2RuO4の本質的な超伝導を観測するには,不純物を徹底的に抑制する必要がある.また,系統的な研究のためには,大型の結晶を得る必要もある.浮遊帯域法での結晶育成について従来の二層型フィラメントにかわる,単層型フィラメントのハロゲンランプの開発に成功した.それにより安定した溶融帯を得ることができた.結果として最大12cmまでの高品質結晶を得られた.この改良ランプは姉妹物質であるCa3Ru2O7の育成にも適応でき,磁気熱量効果から,最近発見した新規磁性相について,熱力学的な相であることを決定づけた.また,磁気熱量効果を用いることで近似結晶における磁気エントロピー変化を初めての評価し,Sr2RuO4 の研究をもとに研究の幅を大きく広げた.今後,これらの成果をもとに,Sr2RuO4 の超伝導対称性の決定ついて,共同研究を含め,多様な研究を展開する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sr2RuO4の超伝導対称性の決定に向けて,主要な結果と言える,ミューオンスピン緩和実験から超伝導転移温度と時間反転対称性を破る温度が分離することが明確に観測できたこと,一方で,比熱測定からはそのような分離が見えてはいないことを明らかにできたからである.これらの結果は一見,整合性が困難であるが,今後のさらなる研究の土台となりうる.研究の根幹をなす結晶育成についても,ハロゲンランプの改良について論文発表ができた.また,Sr2RuO4の周辺物質についても,これまでにない切り口での研究を展開でき,論文発表をおこなうこともできたからである.
|
Strategy for Future Research Activity |
Sr2RuO4の一軸圧力下でのミューオンスピン緩和実験から,磁気転移を示唆する結果が得られた.この段階では,1GPa以上の1つの圧力下のみの結果であるが,今後,さらなる研究により,この磁気相がどのような相図となるのか調べる必要がある.それにより,銅酸化物や鉄系超伝導体で見られるような,超伝導相と磁性相が隣接するような相図となるのかどうか,新たな展開となりうる.これにより,Sr2RuO4の超伝導について超伝導対称性に密接に関わりのある,他の物質系との普遍性も含め新たな知見が得られると期待できるからである.また,結晶育成についても,さらに大型・高品質性のための育成方法の改善も取り組む予定である.それにより共同研究も含めさらに活発化させる予定である.
|
Report
(1 results)
Research Products
(9 results)