Project/Area Number |
21H01060
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14020:Nuclear fusion-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 正聡 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70435519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菱沼 良光 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00322529)
田中 照也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (30353444)
大野 直子 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40512489)
植木 祥高 東京理科大学, 先進工学部電子システム工学科, 准教授 (50731957)
浜地 志憲 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60761070)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 核融合炉 / 液体ブランケット / MHD圧力損失 / 保護性酸化被膜 / FeCrAl合金 / MHD / 絶縁性被覆 / 酸化被膜 / 液体金属 / MHD流れ / 共存性 / スクラッチ試験 / 導電率 / Al含有鋼 |
Outline of Research at the Start |
液体鉛リチウム(Pb-16Li)を用いた核融合原型炉先進ブランケットにおけるエネルギー変換と燃料増殖を検証する実験計画において、液体金属流体が磁場下を横切る際に誘起される電磁流体力学(MHD)圧力損失を抑制する技術の開発が重要な課題である。本研究では、FeCrAl合金が自己形成するAl2O3被膜のAl系酸化被膜の形成機構や密着性、高温時電気絶縁特性、自己保全性を明らかにし、3Tの超電導マグネットを備える核融合科学研究所のOroshhi-2ループを用いた磁場下熱流動実験を実施する事により、FeCrAl合金という革新的材料の応用による新しいMHD圧力損失の抑制メカニズムを構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、液体金属と化学的に共存するAl系酸化被膜を自己形成するFeCrAl合金を応用する事により磁場下のMHD圧力損失の課題を解決する事である。2021年度は、Kanthal(カンタル社)製のAPMT合金(Fe-22Cr-5Al-3Mo)や2種類のFeCrAlZr-ODS合金(Fe-12Cr-6Al-Zr-0.49Y2O3-0.24Ex.O、Fe-15Cr-6Al-Zr-0.47Y2O3-0.22Ex.O)、積層造形型FeCrAlNi合金(Fe-18Cr-12Ni-5Al-2Mo)を対象に、(1) Al系酸化被膜の形成制御試験、(2) 液体金属下での化学的安定性試験、(3) 液体金属浸漬前後の被膜付着強度評価、(4) Al系酸化被膜の高温時導電率評価、(5) Al系酸化被膜によるMHD圧力損失抑制数値シミュレーション、について研究を実施した。(1)では、大気環境下における酸化挙動は酸化時間よりも温度により大きく影響を受ける事が分かり、1000 ℃以上で厚さ1 μm程度の緻密な組織のα-Al2O3被膜を安定して得られる事がわかった。(2)では、液体増殖材である液体リチウム鉛合金(LiPb)や液体ダイバータの冷却材である液体錫(Sn)を用いた腐食試験において、材料共存性を大きく改善する事がわかった。特に、900 ℃のLiPb中においても共存性改善機能を発揮する事がわかった。 (3)では、核融合科学研究のスクラッチ試験装置を用いて液体金属浸漬前後の被膜付着強度を評価する事に成功した。 (4)において、核融合科学研究所の酸化被膜電気伝導計測装置を用いてα-Al2O3被膜の導電率を計測したところ、1000 Kにおいて約1x10-7 S/mという高抵抗率を有している事がわかり、(5)においてMHD圧力損失抑制における十分な電流遮断能力がある事を数値解析により明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
各研究機関が連携する事で、当初の計画を上回るスピードで研究計画が進行している。特に、研究の実施に必要な数種類のFeCrAl合金が速やかに手に入り、それを元に様々な特性評価試験を大きな装置トラブルなく実施する事ができた。酸化被膜を形成したFeCrAl合金と液体金属の共存性試験で得られた結果の一部については、腐食科学の分野で権威のあるCorrosion Science誌に掲載され、国内外のメディアに取り上げられた。また、被膜の形成試験とスクラッチ試験に関しては、日本原子力学会材料部会のBest Figure賞を受賞した。自己保全性の観点から、液体金属環境下における酸化被膜の自己修復挙動に関する予備実験も開始し、初期的なデータを国際会議及び国際誌へ投稿した。 一緒に研究に取り組んでいる大学院生数名が、日本原子力学会フェロー賞、日本原子力学会学生ポスターセッション優秀賞、日本原子力学会学生ポスターセッション奨励賞(2件)、日本原子力学会学生ポスターセッション実験特別賞、東京工業大学核友会賞を受賞した。 研究成果の国内外学会での研究発表(招待講演や口頭発表、ポスター発表)や、英文国際誌への論文掲載や投稿も想定を上回るペースで進んでいる。こうした状況から、進捗状況は"当初の計画以上に進展している"と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(研究項目2) Al含有合金が形成する酸化被膜の自己保全機能に関する研究を実施する。具体的には、高温の大気環境下および液体金属環境下においてAl2O3被膜等の自己修復機能を詳細に明らかにする。被膜の修復挙動を電子顕微鏡やレーザー顕微鏡による観察により明らかにすると共に、液体金属中の修復時における被膜の電気抵抗特性の回復挙動に関しては、In-situの電気化学インピーダンス計測法を応用して明らかにする。
(研究項目3) FeCrAl合金が形成するα-Al2O3被膜が磁場下におけるMHD圧力損失の抑制に有効である事を示唆する十分な結果が得られた。そこで、実際に液体金属流体を用いた試験を実施するための装置を整備し試験する予定である。試験温度や材料、被膜の状態(膜厚、組成、クラック・剥離等のダメージ)をパラメーターとする試験を実施できるような具体的な試験計画を、シミュレーション計算などを元に計画し、装置の製作準備を進める。また、APMT配管の内壁へアルミナ被膜を形成する研究や、その被膜の非破壊評価法についても検討する。
|