Project/Area Number |
21H01333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
寺田 康彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20400640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 高志 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 特別嘱託技師 (60321791)
山田 重人 京都大学, 医学研究科, 教授 (80432384)
山口 雅之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (90450577)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
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Keywords | 超高分解能MRI / ヒト胚子・胎児 / 脳の神経発達機 / 脳の神経発達機構 / ヒト胎児脳アトラス / MRI / 超高分解能 |
Outline of Research at the Start |
ヒトの脳の発生機構を解明することは、脳の機能や構造を理解する上で極めて重要である。本研究では、独自保有の高感度化技術とスパースモデリングとを高度に複合化することにより、世界最高レベルの空間分解能をもつMRIを開発する。さらに正常脳の高精細MRI画像を精緻に数理的構造解析することにより、発生学上重要な解剖学的特徴点の抽出やアノテーション(タグ付け作業)を行い、各発生段階の標準脳高精細アトラス(図説)を作成することで、これまで困難であった脳中枢神経系の発達機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
脳は複雑な構造と機能をもち,その神経発達のメカニズムには未解明な部分が多い.特に妊娠初期の胚子期,胎児期では,主要な器官の原基が次々と急速に形成され,異常発生の確率も高まるため,その神経発達機構を解明することがきわめて重要である.形態観察には,非侵襲的に3次元的な観察が可能な,磁気共鳴画像(MRI)装置が主に用いられている.これまで1204体の3次元MRI画像データベースが作成された.しかし,このMRIデータベースの画像は空間分解能が低く,10μm程度の小さな構造が描出されず,構造解析に必要な解剖学的特徴点を見つけることが困難であった.そのため,脳内部の中枢神経系の解剖学的特徴点や超微細構造が,いつどこで出現し,どのように成長するのか,それらが発生学上どの程度重要なのかということがわかっていなかった.そこで本研究では,世界最高レベルの空間分解能(10μm)をもつMRIを開発し,先天異常標本解析センターに所蔵される貴重なヒト胎児標本を用いて,成長段階ごとの三次元構造を観察することを目的としている. 本年度は,上記の目的を達成するため、世界最高レベルの超高精細MRIの開発を行った。9.4T磁場用の高感度の高周波プローブを新たに開発し、撮像シーケンスの開発やスパースモデリングとの複合化により、撮像視野1cmで空間分解能10μmを達成した。今回は、撮像試験試料として、比較的若い成長段階のカーネギーステージ16のヒト胚子標本を用いた。今後は、後の成長段階の大きな試料を対象とした高周波プローブの開発や撮像シーケンスの最適化を行う。さらに様々な成長段階の試料の横断的な撮像を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、世界最高レベルの超高精細MRIの開発を行った。具体的には、9.4Tの磁場を使って撮像視野1㎝で空間分解能10μmを達成した。そのため、試料サイズにフィットしたソレノイド型高周波プローブと、最大48 G/cmの磁場勾配をもつ勾配磁場コイルを開発した。また、脳の各組織と周辺組織のコントラスト対雑音比が最大となるよう、撮像方法や条件を最適化した。長時間にわたる撮像において安定に動作するように、トランシーバーとソフトウェアの改良を行った。また、短時間に低雑音なデータを取得するため、スパースモデリング技術の一つである圧縮センシングデータサンプリングと再構成を適用し、再構成パラメタやサンプリングパターンの最適化を行った。これらの結果、1㎝大のヒト胚子標本の10μm分解能での3次元撮像を実証した。これとは別に、2cm程度の標本を目標に高精細MRIの開発に着手した。 また、より高い信号対雑音比が期待される11.7Tのシステムに対しては、高周波プローブの開発途中であり、9.4Tのシステムと同等のコントラスト対雑音比が得られることを確認した。現在、雑音対策の強化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①世界最高レベルの超高精細MRIの開発 昨年度に引き続き、高周波プローブの高感度化技術の開発を行う。9.4Tと11.7Tの磁場を使い、高感度のボリュームコイルであるソレノイド型高周波コイルの開発とスパースモデリング技術を用いて、2cmサイズの標本に対して、10~20μmの空間分解能での撮像テストを行う。圧縮センシング再構成/超分解/雑音除去を、深層学習を使って高性能化する技術を開発する。 ②数理的構造解析と胎児標準脳のアトラス構築 発達段階ごとに1体ずつ標本を撮像する。切片試料の光学顕微鏡画像と撮像データを比較しながら、解剖学的特徴点(神経核群、神経管、神経節、軸索、脳神経(I~XII)、大脳基底核、錐体路を代表とする神経線維など)の抽出を行い、必要な解剖学的情報が描出されているかを評価する。
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