励起子トランジスタの創成と励起子輸送の学理探求:情報担体へ進化する励起子
Project/Area Number |
21H01372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21050:Electric and electronic materials-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
板垣 奈穂 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (60579100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白谷 正治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (90206293)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 励起子トランジスタ / 励起子輸送 / 酸窒化物半導体 / スパッタリング / 量子構造 |
Outline of Research at the Start |
励起子は電子と正孔がクーロン相互作用で結合した準粒子であり,半導体の光物性と光機能を担う中核として長年にわたり膨大な研究がなされてきた.一方でマクロスケールでは電気的に中性とみなされる励起子が,電界などの外場中でどのように輸送されるかの議論は殆どなされていない.本研究の最終目的は,外場中での励起子輸送メカニズムを解明し,励起子を情報担体へと進化させることである. 本課題ではまず,その進化の鍵となる非局在型の室温・長寿命励起子をオリジナル材料ZAIONを用いて実現する.そしてこれを外場による励起子輸送の機構解明の場とするとともに,励起子のドリフト輸送を利用した励起子トランジスタを作製する.
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,非局在型の「室温・長寿命励起子」の実現を目指し,①新材料ZION のシュードモルフィック成長の実現,②励起子寿命ならびに励起子発光メカニズムの解明,に注力した.①のシュードモルフィック成長については,ZION膜の単結晶成長に有利なZnO基板を使用し,かつ膜成長時における吸着原子のマイグレーションに有利なO極性面を使用することで,これを実現した.高分解能透過型電子顕微鏡による観察からは,O極性ZnO基板とZION薄膜界面には,原子レベルで急峻なZION/ZnOヘテロ界面が形成されていることが分かった.TEM像からZION膜の原子間距離を算出したところ,O極性面上では少なくとも15 MLまでは原子間距離が基板と等しく,世界で初めてとなるZION膜のシュードモルフィック成長が観察された(本成果はJ. Mater. Res.誌に招待論文として掲載).また平行して,コスト面で圧倒的に有利なサファイア基板上へのZION膜の単結晶成長も試みた.基板と膜との間の大きな格子不整合率(18%)がボトルネックとなるが,代表者が開発した「逆Stranski-Krastanov 法」によりサファイア基板上においても高品質膜が形成可能であることが示された.②については,まず時間分解フォトルミネッセンスにより励起子発光寿命を評価した.結果,非輻射再結合寿命はpsecオーダーと短く,これがデバイス性能を支配する可能性が示された.非輻射再結合中心の密度は10^17-10^18 /cm3と見積られ,これは不純物もしくはZn欠損との複合欠陥によるものと考えられる.今後は,原料の高純度化を行うとともに,成膜温度や成膜後の降温レート・降温時の雰囲気等を制御することで,非平衡下で形成されやすいとされる点欠陥の発生の抑制に注力し,励起子輸送の実現を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は,代表者オリジナルのシーズ技術を背景に,中間状態としての準粒子として取り扱われてきた励起子を電子,光子に続く第3の情報担体へと進化させるものである. その進化の鍵となる非局在型の室温・長寿命励起子を歪量子井戸を用いて実現するべく,オリジナル材料ZAIONのシュードモルフィック成長を試み,現在までにそれに成功している.また励起子寿命の評価ならびに発光メカニズムの解明に着手し,i) 非輻射再結合寿命はpsecオーダーと短く、これがデバイス性能を支配すること,ii) 非輻射再結合中心の密度は10^17-10^18 /cm3と見積られ、これは不純物もしくはZn欠損との複合欠陥による可能性が高いこと,を示すことができた. 今後は,これまでの成果を結集し,非局在型の室温・長寿命励起子を実現する.同時に,励起子の移動度や移動経路の詳細を調べ,輸送機構の解明を実験的な面からも行う.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、ZION/ZnO歪量子井戸による非局在型の室温・長寿命励起子の実現をめざす.本研究では ZnO系材料の強い圧電性 (e33~1 C/m2) を利用して,量子井戸内に巨大ピエゾ電界を発現させ,電子と正孔の波動関数を空間的に分離することで励起子長寿命化を行うが,この前提となるのが単膜での長い非輻射再結合寿命である.R4年度に高時間分解フォトルミネッセンス測定を行ったところ,量子井戸を形成する ZnOならびに ZnMgO膜の非輻射再結合寿命が現状 psecオーダーと短く,これが最終的なデバイス性能を支配する可能性が示された.非輻射再結合中心の密度は10^17-10^18 /cm3と見積られ,これは不純物もしくはZn欠損との複合欠陥によるものと考えられる.R5年度は,原料の高純度化を行うとともに,成膜温度や成膜後の降温レート・降温時の雰囲気等を制御することで,非平衡下で形成されやすいとされる点欠陥の発生の抑制に注力し,デバイスグレードの量子井戸実現を目指す.さらに,量子井戸における時空間分解ルミネッセンス計測を行い,励起子寿命に加えてその移動経路,移動度を明らかにする.以上により,励起子の「輸送」まで含めた議論を行う
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Report
(2 results)
Research Products
(63 results)
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[Presentation] サファイア基板上への Zn1-xMgxO 膜のスパッタエピタキシー:ZnON/MgO バッファー層の効果2022
Author(s)
湯上貴文, 矢高功太郎, 三石遼, 山下尚人, 山下大輔, 奥村賢直, 鎌滝晋礼, 木山治樹, 古閑一憲,白谷正治, 薮田久人, 板垣奈穂
Organizer
プラズマ・核融合学会 九州・沖縄・山口支部 第26回 支部大会
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