Project/Area Number |
21H01515
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上北 恭史 筑波大学, 芸術系, 教授 (00232736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 一太 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40386719)
花里 利一 神奈川大学, 付置研究所, 客員教授 (60134285)
新津 靖 東京電機大学, システムデザイン工学部, 特定教授 (70143659)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 木造教会堂 / ウクライナ / ポーランド / 構造モニタリング / Lakowa / 校倉造 / LEDマーカー / 常時微動 / モニタリング / ラコバ / 保存 / 世界遺産 / ポテリッチ / 微動測定 |
Outline of Research at the Start |
東欧の民族の交差点であったウクライナ西部には、正教や東方カトリック教会によって作られてきた校倉造の木造教会堂が数多く残る。校倉造木造教会堂は木造軸組みと異なり、不均等に劣化が進行する。本研究は校倉構造の損傷を計測するために、LEDマーカーを利用した動的変位観測を用いて計測モニタリングの方法を開発する。本研究では地滑りによって変形しつつあるウクライナの世界文化遺産ポテリッチに所在する聖神降臨聖堂を計測し、その成果の評価から校倉造に利用できるモニタリング方法を開発する。さらに本成果を基盤として、ウクライナの保存専門家とともに日本の木造軸組建造物と東欧の校倉木造建造物の構造評価法について議論する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻のために、当初計画で予定していたウクライナのポテリッチにある聖神降臨聖堂(Potelych-Tserkva of the Descent of the Holy Spirit)からモニタリングの対象地を変更し、ポーランド南東部にあるサノク郡(Sanok Country)に残る聖母マリア生誕教会(Church of the Nativity of the Blessed Virgin Mary in Rakowa )で行うこととなった。本研究チームは2023年3月に同教会を訪れ、所有者であるカトリック教会堂神父への聞き取り、および現地の簡単な調査を行った。 同教会堂についてLEDによるモニタリングが可能かどうかを検討し、簡易的な測定を実施した。礼拝堂の入り口近くの天井および祭壇の上部にLEDを設置し、デジタルカメラによる常時微動の計測を行った。この木造教会堂の建物の常時微動は約7ヘルツ前後に振動しており、比較的硬い構造特性を持つと思われる。 教会堂は南北に流れるティラウカ(Tyrawka)川に浸食された東側の河岸段丘上に位置して西に面して建っている。敷地の南西部は浸食のために傾斜しており、教会堂の南西角の土台には亀裂が見られ、また西側の入り口上部に立つ鐘楼も西に若干傾斜していることから、浸食による敷地の傾斜が徐々に進んでいると考えられる。しかしこれらの浸食による傾斜は緩慢なものと考えられることから、教会堂の劣化に影響を及ぼす要素として春先に副強風の影響も考慮して風速計と連動したモニタリングを行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、ウクライナへの渡航ができなくなった。ウクライナ侵攻は当初早期に終息すると思われていたため、渡航の時期を調整していたが、戦況が長引く可能性があり、年度内のウクライナ調査は難しいと判断した。この理由によりウクライナ領内にある研究対象の木造教会堂の調査ができなくなったため、隣国ポーランド南東部に残る木造教会堂にモニタリング対象地を変える計画変更を行った。ポーランドにはかつてウクライナ人が多く居住しており、正教の木造教会堂も多く残っている。当初計画で想定していた建築規模、および立地条件、劣化の進行など、モニタリングに適した木造教会堂を探すための調査が必要になった。段丘崖の浸食による劣化よりは春先の突風による影響もうけるため、風力計の追加を検討している。また現在利用されていないため、LEDのモニタリング装置の電力供給のため、ソーラーパネルの設置とモバイルルーターによるデータ送信でデータの収集を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
モニタリングの対象となる新たな木造教会堂として、ラコバの木造教会堂を対象とし、現在、モニタリングの調査の許可を所有者であるカトリック教会と文化遺産の保存管理事務所に申請している。調査許可を得られ次第、モニタリング装置の設置を行う予定である。
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