新たな視点に基づく非水液体中での微粒子分散評価体系の構築
Project/Area Number |
21H01639
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26030:Composite materials and interfaces-related
|
Research Institution | Doshisha University (2023) Okayama University (2021-2022) |
Principal Investigator |
石田 尚之 同志社大学, 理工学部, 教授 (80344133)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
今村 維克 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (70294436)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥16,120,000 (Direct Cost: ¥12,400,000、Indirect Cost: ¥3,720,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
|
Keywords | 非水溶媒 / 分散凝集 / 相互作用測定 / 原子間力顕微鏡 / パルスNMR / 表面間相互作用 / 分子配向構造 / 直鎖炭化水素 / 溶媒和力 / 表面間力 |
Outline of Research at the Start |
非水系の溶液を用いた微粒子分散系は、多くの工業プロセスにおいて重要であるが、非水系の分散現象は、支配要因である非水溶媒中の表面間の相互作用力への理解が不十分であるため、ほとんど体系化されていない。本研究では、表面と溶媒分子の親和性を基軸とした新しい視点に基づき、これが表面間の相互作用にもたらす影響を明らかにすることで、「表面・溶媒の種類と組合せから系の分散・凝集が予測できる」体系を構築する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、表面を最も単純な構造を持つ分子のひとつである、直鎖炭化水素で被覆した場合について、表面間力が各種溶媒中でどう変化するかについて検討を行った。炭素数(C)4ー18で被覆した改質シリカ表面間力をドデカン中で測定したところ、C12で被覆したシリカ表面間でのみ3 nm程度からの短距離の斥力が作用したが、他の炭素数の炭化水素で被覆したシリカ表面間には引力が作用した。また、C12の炭化水素鎖で被覆した表面間の相互作用を、異なる長さの直鎖炭化水素溶媒中で測定したところ、やはりドデカン中で短距離の斥力が作用したが、他の溶媒中では引力が測定された。すなわちこの結果は、表面分子と溶媒分子の炭素鎖長が等しい時のみ斥力が作用するという、非常に興味深い現象を示すものと考えられた。 この結果について、周波数変調型AFMで表面付近での溶媒構造の観察を行ったところ、C12被覆表面上では、ドデカン分子が表面近傍においてに平行に配向していることが観察されたが、その他の炭素鎖長の表面上ではこのような配向はみられなかった。すなわち、C12被覆表面では表面分子層にドデカンが侵入することで,表面と溶媒間の相互作用が強くなり、さらにその上に表面に平行に配向した溶媒和層が形成されて、溶媒和斥力が作用することが示唆された。これに対し、C12より短い分子では表面分子層からドデカンが脱離しやすく、また長い分子ではドデカンが表面分子層に完全に埋没するため不安定となり,溶媒和構造が形成されず、引力が作用したのではないかと推察された。これらの結果は、表面と溶媒分子の親和性に加え、表面近傍での構造が表面間力に非常に大きな影響を与えることを示すものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は現象メカニズムをより単純化して捉えることを目的として、最も単純な構造を持つ分子のひとつである直鎖炭化水素で表面を被覆した場合についての相互作用の検討を主として行った。その結果、面分子と溶媒分子の炭素鎖長が等しい時のみ斥力が作用するという、非常に興味深い現象を見出すことができた。本研究の開始当初は、相互作用の発生要因を溶媒分子の表面への親和性のみにほぼ限定して捉えていたが、本年度の結果は、表面と溶媒分子の親和性のみならず表面近傍での溶媒和構造が、これまでの予想以上に表面間力に大きな影響を与えることを示すものであり、研究の方向性に新たな視点が与えられたという点で価値が非常に高いものと考える。今後は、表面の溶媒和構造と表面間力の相関についても、詳細な検討を行っていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、より多種類の官能基で被覆した表面について、表面と溶媒のもつ官能基・原子団の物性が、どのように表面・溶媒分子の親和性を発現させているか検討する。特に異なる官能基をもつ表面・溶媒間での比較から、親和性に影響を与える因子とその機構を探索する。また、種類や物性だけでなく、表面上での分子の配向構造についても着目し詳しく解析する。 これをもとに、表面間に働く相互作用の作用範囲や強さの変化について、表面と溶媒の親和性と溶媒分子の表面における構造化の観点から、相互作用に影響を与えるパラメータを抽出し、相互作用の発生機序を明らかにする。 同時に相互作用の作用範囲と強さが、バルク粒子の凝集速度をどう変化させるか評価し、相互作用と凝集速度の定量的関係を明らかにする。
|
Report
(2 results)
Research Products
(15 results)