Elucidation of strengthening mechanisms in nano-precipitated aluminum alloys by in-situ TEM observation and dislocation dynamics
Project/Area Number |
21H01649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
廣澤 渉一 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (20345359)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,910,000 (Direct Cost: ¥10,700,000、Indirect Cost: ¥3,210,000)
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Keywords | アルミニウム合金 / ナノ析出物 / TEMその場観察 / 転位動力学 / 強化機構 / TEM内その場引張試験 / 転位のすべり系 / 析出強化 / 固溶強化 / 分子動力学法 / せん断変形 / シミュレーション / 転位の張出し / 転位の種類 / せん断変形シミュレーション / 転位のすべり運動 / 転位の張り出し / Labuschの式 |
Outline of Research at the Start |
近年の解析技術の発達によって、アルミニウム合金の高強度化を図る際に重要となるナノ析出組織を実験的に検出できるようになってきた。しかしながら、ナノクラスタや溶質原子の濃度ゆらぎが強度に及ぼす影響についてはいまだに未解決のままである。本研究では、TEM内その場引張試験と分子動力学法に基づいた転位動力学モデルによって、アルミニウム合金中で形成するナノ析出組織と可動転位間の相互作用を実験的・計算科学的に評価する。合金強化の起源を原子レベルで明らかにできれば、高強度化と省資源化の両方が望まれる材料開発において、少量添加で大きな硬化が見込まれる元素の選択や新たな合金の創製が可能となるものと期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
①アルミニウム中を運動する転位のすべり系を同定するため,工業用純アルミニウムA1050冷間圧延材のTEM内その場引張試験を行った.転位の張り出しの様子から運動転位の転位線方向や運動方向を評価し,さらに引張方向や転位線コントラストの消滅条件を考慮して,バーガースベクトルを特定,妥当なすべり系の候補を選択した.さらに,自作のプログラムの解析結果と実際に観察された転位の運動を比較することで,転位の種類(刃状転位,らせん転位,混合転位)を確定することにも成功した.最終年度は,離脱角の補正手法を拡張し,現在の手法では適用できない条件でも補正を可能にすることで,さらに転位と析出物の相互作用について議論していくことを考えている.
②分子動力学法を用いて各種アルミニウム合金結晶モデルのせん断変形シミュレーションを行い,得られた応力変化から固溶強化量や析出強化量を定量評価した.例えば,Al-MgおよびAl-Cu合金固溶体モデルから得られた固溶強化量は,Labuschの理論式から求めた値と良く一致し,構築したシミュレーションモデルならびに使用したポテンシャルの妥当性が示された.さらに,{111}または{100}を晶癖面とする板状析出物を含むGPゾーンモデルからは,{111}GPゾーンがサイズや析出物数のどちらにも析出強化量が線形増加するのに対して,{111}GPゾーンは析出物数には線形増加するものの,ある程度サイズが大きくなると,ほとんど強化量が増加せず,転位の張出し量も一定となることがわかった.そのため,それぞれのGPゾーンで異なる応力場が形成,方位ごとに強化機構や強化量が異なることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験、計算とも当初の計画通りに進展している.具体的には,引張試験が可能なTEM観察用薄膜試料の作製法やTEM内その場引張試験の各種条件設定の確立,アルミニウム中を運動する転位の種類,すべり系を同定する手法の構築などが挙げられる.また計算についても,分子動力学法を用いたせん断変形シミュレーションによって,純アルミニウムや種々のMgまたはCu濃度をもつAl-Mg, Al-Cu合金固溶体中の刃状転位のすべり運動を再現し,臨界せん断応力や固溶溶質原子による固溶強化量を定量評価した.さらに,析出強化量についても,異なる晶癖面をもつGPゾーンでは異なる応力場が形成,方位ごとに強化機構や強化量が異なることを明らかにしており,最終年度に向けてさらに研究を加速していくつもりである.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに実施した工業用純アルミニウムのTEM内その場引張試験に続いて,Al-Mg-Cu合金やAl-Mg-Si合金などで同様の試験を行い,ナノクラスタやGPゾーンが分散した析出組織中での運動転位の挙動を実験的に明らかにする.その際、自作で開発したOpenGLを用いた転位のキャラクタライゼーション法が有用であり,観察された転位の運動と比較することで,転位の種類やすべり系を精度よく同定できるものと期待される.さらに、分子動力学法に基づく転位動力学モデルの構築に関しても,すでにアルミニウム母相中の刃状転位のすべり運動、ならびにMgやCu原子を固溶した合金の固溶強化量を定量評価することに成功しており,いよいよ析出物やナノクラスタを分散,運動転位と相互作用させて,強化量を評価,検証する予定である.
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)