Elucidation of the mechanism of organic film deposition by rapid expansion of supercritical solutions (RESS) using CO2 and its application to general-purpose technology
Project/Area Number |
21H01688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27010:Transport phenomena and unit operations-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
内田 博久 金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (70313294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 一利 金沢大学, 総合技術部(理工), 技術職員 (80869991)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
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Keywords | 有機半導体 / 薄膜 / 二酸化炭素 / 超臨界溶体急速膨張法 / 薄膜設計 / 製膜 / Ph-BTBT-10 / 有機薄膜トランジスタ / 高性能化 / 有機薄膜 / 汎用化技術 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,我々が考案した「CO2を利用した超臨界溶体急速膨張法(RESS法)による有機製膜機構の解明」と「その成果に基づいた有機薄膜の自由設計(薄膜設計)[膜厚,薄膜を構成する結晶粒のサイズ・形態・分子配向性・結晶性・結晶構造,及び薄膜の緻密さ(結晶粒界)の制御]技術の確立」を目的とする。さらに,実用化に必要な「大面積の有機半導体薄膜の創製(薄膜の大面積対応化)」,及び「種々の基板材料(高分子基板等)への対応化」による汎用的技術への展開が可能となる検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
CO2を利用した超臨界溶体急速膨張法(RESS法)による有機製膜に及ぼす操作因子の影響解明を実施した。具体的には,2-Decyl-7-phenyl[1]benzothieno[3,2-b][1]benzothiophene(Ph-BTBT-10)を用いて,1) 基板表面状態[基板の洗浄方法と自己組織化単分子膜(SAM)による基板表面処理]と2) 薄膜のアニール処理(熱処理),の影響を調査し,有機薄膜機構解明に繋がるデータ蓄積を行った。まず,窒素洗浄,SPM(硫酸/過酸化水素水)洗浄及び有機溶媒+UVオゾン洗浄をSiO2/Si基板に行い,RESS法により薄膜創製を行った。その結果,有機溶媒+UVオゾン洗浄を行った基板上の薄膜の結晶特性が良好であり,トランジスタ(TFT)性能も高いことがわかった。具体的には,薄膜の結晶粒は合一しており,結晶構造は単分子層構造であり,基板垂直方向および基板水平方向の配向性が高かった。この薄膜のTFTのキャリア移動度は2.7 cm2/V・sであった。次に,ヘキサメチルジシラザン(HMDS)とオクタデシルトリクロロシラン(ODTS)のSAM処理の影響を検討した。その結果,各処理後の基板上の薄膜は粒径1ミクロン以下の結晶粒から構成され,結晶構造と配向性は処理前後で変化しなかった。SAM処理後の基板上の薄膜のTFTのキャリア移動度は大きくなり,特にODTS処理がTFT性能の向上に効果が高く,最大で11.5 cm2/V・sという高性能TFT作製が可能であることが示された。最後に,薄膜のアニール処理の影響を検討した。RESS法によって創製した薄膜に温度393 K,時間10分のアニール処理を行った場合,薄膜の結晶粒界の不明瞭化(結晶粒の合一)と結晶粒の結晶構造が二分子層構造への変化が生じ,キャリア移動度8.2 cm2/V sという高性能TFTの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は,CO2を利用した超臨界溶体急速膨張法(RESS法)による有機薄膜創製技術による有機製膜に及ぼす種々の操作因子の影響の解明を実施した。具体的には,有機半導体材料としてPh-BTBT-10を用いて,有機薄膜の特性に及ぼす操作因子である,1) 基板表面状態[基板の洗浄方法と自己組織化単分子膜(SAM)による基板表面処理]と2) 薄膜のアニール処理(熱処理),の影響を系統的に調査し,有機薄膜機構解明に繋がる基礎データの蓄積を行った。今年度は,当初の計画通りに,窒素洗浄,SPM(硫酸/過酸化水素水)洗浄及び有機溶媒+UVオゾン洗浄の3つのSiO2/Si基板の洗浄方法の影響,SiO2/Si基板へのヘキサメチルジシラザン(HMDS)とオクタデシルトリクロロシラン(ODTS)のSAM処理の影響,ならびにRESS法で創製された薄膜へのアニール処理(熱処理)の影響を明らかにした。まず,SiO2/Si基板への洗浄方法の影響の検討により,有機溶媒+UVオゾン洗浄が良好な結晶特性と電気的特性(TFT性能)を有する洗浄方法であることを明らかにした。次に,この洗浄を行ったSiO2/Si基板に対してODTS処理を行うことにより,非常に良好な結晶特性と電気的特性を有する薄膜の創製が可能であることを明らかにした。つまり,基板表面の濡れ性が低く,表面自由エネルギーが小さいODTS処理がTFT性能の向上に効果が非常に高く,最大で11.5 cm2/V・sという目標の10 cm2/V・sを超える高性能TFT作製が可能であることを明らかにした。さらに,薄膜へのアニール処理の影響を検討し,有効な処理であることを示した。これらの成果により,本研究課題の現在の進捗状況は当初の計画通りに進んでおり,非常に良好であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,CO2を利用したRESS法による有機薄膜創製に及ぼす操作因子の影響の解明を継続し,さらに有機製膜機構の解明と薄膜設計技術の提案を行う。Ph-BTBT-10に加えて,TIPSペンタセンやC8-BTBTを用いて,薄膜特性に及ぼす操作因子の,1) 基板表面状態[自己組織化単分子膜(SAM)による基板表面処理]と2) 薄膜のアニール処理,の影響を調査し,薄膜設計指針を明らかにする。まず,SiO2/Si基板への最適なSAM処理を探索する。検討するSAMとして,フェネチルトリクロロシラン(PETS),トリクロロ(オクチル)シラン(OTS),トリクロロ(フェネチル)シラン(PETS),トリメトキシフェニルシラン(PTS),ドデシルトリメトキシシラン等を用いる。SAM表面処理後の基板は,接触角と表面エネルギー評価を行い,走査型プローブ顕微鏡で表面状態の観察を行う。次に,これらの処理を行った基板上にRESS法で薄膜を創製し,結晶特性(膜厚,結晶粒サイズ・形態・緻密性・結晶構造・配向性,表面状態等)を分析し,最適なSAM処理を明らかにする。最後に,RESS法で創製した薄膜のアニール処理の有効性を検討し,最適なアニール処理条件を探索する。この際,各条件で得られた有機薄膜を用いたボトムゲート・トップコンタクト型トランジスタを作製し,その電気的特性(デバイス性能)を評価する。これらの成果に基づき,本技術による薄膜創製機構の解明,ならびに高性能トランジスタ創製が可能となる最適条件と薄膜設計技術を提案する。また,研究期間に余裕がある場合は,基板材料の薄膜特性への影響解明と実用的なフレキシブル有機半導体デバイス開発を目的に,高分子基板(候補物質:ポリイミド,ポリビニルフェノール,ポリスチレン,パリレン等)の検討を行う。さらに,実用化に必要な大面積の薄膜創製(薄膜の大面積対応化)に関する検討を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(46 results)