Project/Area Number |
21H01798
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大島 諒 京都大学, 工学研究科, 助教 (10825011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
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Keywords | スピン波スピン流 / スピントロニクス |
Outline of Research at the Start |
本研究は、磁性体/非磁性体界面のスピン軌道相互作用とそのゲート電圧変調により、磁性金属薄膜中のスピン波スピン流を自在に制御することを目的とする。磁性体中のスピン波スピン流は、薄膜化により(i) チャネル表面・界面での外因性散乱の顕在化による緩和の増大や(ii) チャネル表面と裏面でのスピン波同士の結合により整流性が得られないといった課題を有する。本研究提案では、バッファ層導入による外因性散乱の低減やイオンゲートを用いた薄膜金属・金属多層膜の物性変調によりチャネルの対称性を制御することで、薄膜磁性体におけるスピン波スピン流の伝導特性の電圧変調を可能とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、磁性体/非磁性体界面のスピン軌道相互作用とそのゲート電圧変調により、磁性金属薄膜中のスピン波スピン流を自在に制御することを目的とする。具体的には、ゲート電圧により(i)非磁性バッファ層との界面におけるスピン軌道相互作用の変調や(ii)強磁性チャネルの飽和磁化変調を行うことで、スピン波スピン流のゲート電圧制御を目指す。今年度は導入した極低温RFプローバーの機能を拡張するとともに、温度制御下においてもスピン波スピン流伝搬の観測が可能であることを確認した。また、上記(i), (ii)について、強磁性共鳴測定を用いることでバッファ層による磁気異方性エネルギーの導入や、白金超薄膜をキャップ層に用いることによるゲート電圧変調効果による磁気緩和の変調効果について研究した。その結果、変調効果が確かに現れることが確認でき、スピン波スピン流の変調につながる結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために、今年度は1. 低温RFプローバーの機能の拡張ならびに温度制御下におけるスピン波スピン流の観測と、2. 強磁性共鳴測定を行うことで、非磁性バッファ層の導入による磁気緩和の変調効果や磁気異方性の変調効果について確認した。 計画1について、研究目標達成の要となる低温測定を可能とする低温RFプローバー装置の機能の拡張を行った。昨年度は予算の都合上RFプローブを1本だけにするなど最低限の仕様で購入したが、今年度にRFプローブなどを拡充し2本にすることで、スピン波の励起・伝搬の検出によるスピン波スピン流輸送の観測に成功した。また、極低温制御下におけるスピン波スピン流輸送実験を行い、信号の観測にも成功していることから、低温RFプローバー装置の大部分は完成したと言える。 計画2について、強磁性共鳴測定を用いることでバッファ層による磁気異方性エネルギーの導入や、白金超薄膜をキャップ層に用いることによるゲート電圧変調効果による磁気緩和の変調効果について研究した。その結果、変調効果が確かに現れることが確認でき、スピン波スピン流の変調につながる結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究目的を達成するため、スピン波スピン流輸送長の長い磁性絶縁体を用いた研究や、薄膜多層膜における強磁性共鳴の解析による界面磁気異方性エネルギーが磁気緩和に与える影響に関する研究、ならびに低温測定を可能とする低温高周波プローバー装置の立ち上げを行ってきた。本年度は、昨年度までで得られた結果や準備状況を総括し、論文執筆など研究内容についての発信を行う予定である。具体的には、強磁性共鳴測定で得られた成果を活かし、界面磁気異方性エネルギーが大きく変化した多層膜の組み合わせを用いてスピン波スピン流の伝搬測定を行っている。また、白金超薄膜をキャップ層として用いた試料では、当初予定していたゲート電圧による磁気異方性エネルギーの変調とそれに伴う緩和の変調を示唆する結果が強磁性共鳴測定で得られており、これをスピン波スピン流の伝搬測定で行う。これらの結果についてさらに系統的な研究を積み重ね、研究論文としてまとめる。また、室温領域で進めている非磁性バッファ総導入によるスピン波スピン流散逸の低減について、厚さ4 nmでの強磁性金属(NiFe合金)導波路を用いたスピン波スピン流伝導とその非相反性について観測できており、成果をまとめる。さらに、低温高周波プローバーを用いることで低温環境下でのスピン波スピン流伝搬の観測が可能であることを確認できたため、これを用いて磁化変調・反強磁性層の交換結合の変調によるスピン波スピン流の整流的伝導測定についても研究を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)