Observation of conduction band structure of organic semiconductor and study of electron-phonon coupling
Project/Area Number |
21H01902
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32020:Functional solid state chemistry-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 弘幸 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (00283664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 有機半導体 / 伝導帯 / 電子伝導 / 電子-フォノン相互作用 / 角度分解低エネルギー逆光電子分光 / 伝導帯バンド構造 / 電子-フォノン相互作用 / エネルギーバンド構造 / 電子移動度 / ポーラロン |
Outline of Research at the Start |
有機半導体の大きな課題は、ホール伝導(p型特性)に比べて電子伝導(n型特性)が極めて低いことである。有機半導体の伝導機構を決定するのは、エネルギーバンド構造と電子-フォノン相互作用である。ホール伝導に関わるHOMO準位については光電子分光法により調べられてきたが、電子伝導に関わるLUMO準位については研究が皆無である。本研究は、代表者が10年にわたって開発してきた角度分解低エネルギー逆光電子分光法により、電子伝導にかかわるLUMO準位のバンド構造と電子-フォノン相互作用を解明する。電子伝導の基本原理を明らかにすることで、有機半導体のn型特性向上への革新的ブレークスルーとなる。
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Outline of Annual Research Achievements |
有機半導体の機能は、電子と正孔の伝導により発現する。このうち電子の伝導機構は未解明である。有機半導体の電荷(正孔と電子) の伝導を決定するのは、分子間の電子的相互作用 (波動関数の重なり)、電荷-フォノン (分子内振動、分子間振動) 相互作用である。これまで正孔については、角度分解光電子分光法により観測された価電子帯バンド構造を基に正孔伝導機構が解明されてきた。これに対応する電子伝導の研究は皆無であった。代表者は、角度分解低エネルギー逆光電子分光法 (AR-LEIPS) を開発し世界初の有機半導体の伝導帯バンド構造の観測に成功した。これをさらに発展させて電子伝導機構を明らかにするのが本研究である。 これまでに、代表者らはペンタセンの室温での伝導帯バンドの解析から、ポーラロンが形成されていることを明らかにしてきた。このバンド構造を再現するように、部分ポーラロンモデルという新しいポーラロン描像を提案した。このモデルを裏付けるため、ペンタセンの伝導帯と価電子帯のバンド幅の温度依存測定(100 Kから300 K)を行った。微小な変化を測定する極めて難しい測定であり、しかも熱膨張の影響が懸念されることから、熱膨張率の異なる基板について複数の測定を行い、温度依存性を確認した。この結果、価電子帯バンド幅は温度にほとんど依存しないのに対して、伝導帯バンド幅は低温でわずかに広がることが分かった。このバンド幅の温度依存は、部分ポーラロンモデルにより定量的に再現することができ、本モデルの妥当性を証明することができた。部分ポーラロンモデルに基いて、波束拡散法により正孔と電子の移動度を計算したところ、高い精度で実験データを再現することができた。このことは、電子-フォノン相互作用が電子移動度を低下させる大きな要因であることを示しており、有機半導体の電子伝導機構解明の大きな一歩である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バンド幅の精密な温度依存測定から、高移動度有機半導体でのポーラロン生成を確証したのは大きな研究成果である。また、部分ポーラロンモデルを提案し、これが実験結果と定量的に一致することを示して、長年の謎であった電子移動度が低い理由も明らかにすることができた。これらの成果は、予想を超える順調な成果といえる。 角度分解低エネルギー逆光電子分光装置については、マニピュレータにモータを取り付けて試料位置を自動制御できるようになり、測定効率が飛躍的に向上した。その一方で、結晶方位に沿った完全な伝導帯バンド構造測定については、試料の作製がうまくいかず測定できていない。また、高分解能化については、新型コロナ感染症のため新型電子源の製作が遅れている。以上のことを鑑み、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
MCP-LEEDなどの表面構造解析装置の導入により、製膜条件を検討し、ペンタセンのエピタキシャル成長膜の作製を実現する。この試料について、角度分解低エネルギー逆光電子分光による結晶方位に沿った完全な伝導帯バンド構造測定を実現する。 2021年度予算により作製した磁気シールド真空槽を活用して、高分解能電子源を完成させる。これにより、高分解能での伝導帯測定を実現する。
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Report
(1 results)
Research Products
(17 results)