Project/Area Number |
21H01941
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
國信 洋一郎 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40372685)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 位置選択性 / 立体選択性 / C-H結合変換 / 非共有結合性相互作用 / 触媒 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、これまでにC(sp3)-H結合変換反応の位置選択性制御に多用されてきた配向基法の問題点を解決するとともに、これまで実現できなかったC(sp3)-H結合変換反応や不斉C(sp3)-H結合変換反応を開発するため、触媒と基質間に働く非共有結合性相互作用を利用する位置選択性制御法や立体選択性制御法を開発することを目的とする。また、開発する反応を利用することで、医薬品や生物活性分子を合成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでにC(sp3)-H結合変換反応の位置選択性制御に多用されてきた配向基法の問題点を解決するとともに、これまで実現できなかったC(sp3)-H結合変換反応や不斉C(sp3)-H結合変換反応を開発するため、触媒と基質間に働く非共有結合性相互作用を利用する位置選択性制御法や立体選択性制御法を開発することを目的に研究を行っている。 我々の最近の報告(ACS Catal. 2022, 12, 3058)において得られた知見をもとに、負電荷を有する金属触媒を利用することで、正電荷を有するアンモニウム基をもつアミノ酸やペプチドの位置選択的なC(sp3)-Hアルキル化反応の開発に成功した。この反応では、触媒と基質間での静電相互作用により、触媒が基質中の正電荷を帯びたアンモニウム基近傍のC(sp3)-H結合に接近することで、位置選択的なベンジルラジカルの形成を伴って反応が進行したものと考えている。 また、糖類の位置選択的なC(sp3)-Hアルキル化反応の開発に成功した。かさ高い金属光触媒とコンパクトな有機光触媒を使い分けることで、反応点をスイッチできることを明らかにした。かさ高い金属光触媒では最も立体障害の小さな反応点で、コンパクトな有機触媒ではもっとも結合解離エネルギーの小さなC(sp3)-H結合で、それぞれ反応が進行した。 その他にも、独自に開発した三座配位子を有するイリジウム触媒を用いるC(sp3)-Hボリル化反応や、六員環ヘテロ芳香環の求核的な活性化を利用するピリジンやキノリン類の3位選択的なトリフルオロメチル化反応、アニリン誘導体の炭素-窒素結合切断を伴うボリル化反応や脱アミノ化反応の開発に成功した。また、近赤外発光や二重発光を示すπ共役系分子の創製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、本研究における最終目標である位置および立体選択的なC(sp3)-H結合変換反応の開発に向けて、いくつかの位置選択的なC(sp3)-H結合変換反応を開発することができた。まず、触媒と基質間に働く非共有結合性相互作用を利用することにより、アミノ酸やペプチドの位置選択的なC(sp3)-H結合変換反応を実現した。また、金属光触媒や有機光触媒を用いる糖類の位置選択的なC(sp3)-H結合変換反応の開発にも成功し、それら二種類の触媒を使い分けることで反応点をスイッチできることも明らかにした。 以上の結果より、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は引き続き、静電相互作用のような非共有結合性相互作用を利用することにより、C(sp3)-H変換反応における位置選択性制御法およびエナンチオ選択性制御法を開発することを目的に研究を遂行する。 1.位置選択性制御法の開発 研究代表者らは、負電荷をもつデカタングステン酸触媒を用いることで、プロトン化されたアニリン誘導体(例えば2,4-ジメチルアニリン誘導体)の二つのメチル基のうち、2位のメチル基選択的にC(sp3)-Hアルキル化が進行することを見出し、最近学術論文として報告した。この位置選択性の発現メカニズムとして、デカタングステン酸触媒の負電荷と基質に含まれるアンモニウム基の正電荷との間に静電相互作用が働き、デカタングステン触媒が2位のメチル基に近づくことで、2位選択的にベンジルラジカルが生じた、と考えている。この成果に基づき、正(もしくは負)に帯電させた基質と負電荷(もしくは正電荷)をもつ触媒との間に働く静電相互作用により、反応点が複数存在する基質において、 官能基近傍での位置選択的な官能基化を実現する。また、同じ電荷をもつ官能基と触媒との間に働く静電反発を利用することにより、官能基の遠隔位での位置選択的な官能基化も実現する。 2.エナンチオ選択性制御法の開発 触媒配位子に基質認識部位を導入したキラル触媒を設計・合成・利用することで、反応位置を制御しながらエナンチオ選択的なC(sp3)-H結合変換反応を実現する。
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