多孔質構造の制御を基盤とする拡散律速型バイオセンシング
Project/Area Number |
21H01961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北隅 優希 京都大学, 農学研究科, 助教 (00579302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 理 京都大学, 農学研究科, 教授 (40355011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥16,250,000 (Direct Cost: ¥12,500,000、Indirect Cost: ¥3,750,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 微小電極 / 多孔質電極 / 酸化還元酵素 / 電気化学センサー / 酵素機能電極 / ギ酸脱水素酵素 / ビリルビンオキシダーゼ / 配向制御 / 参照電極 / 分子内電子伝達 / 酵素電極反応 / 酸素溶解速度 / 多孔質金 / バイオセンサ / 酵素内電子移動 |
Outline of Research at the Start |
酸化還元酵素反応と電極反応の共役系は酵素電極反応として知られ、酵素と電極が直接電子授受を行う場合は直接電子移動型の酵素電極反応と呼ばれる。多孔質電極が酵素と電極間の電子授受において有利であることは広く知られているが、理論的な取扱いは進んでいない。そこで,多孔質構造の制御技術と酵素配向の解析技術、そして多孔質内部の物質輸送モデルを組み合わせ、多孔質電極上での酵素電極反応の理論的取り扱いを実現する。そして、酵素電極の出力向上における方法論を確立する。また、多孔質構造内の物質輸送によって応答が制御される再現性の高いバイオセンサーを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
タングステン含有ギ酸脱水素酵素(FoDH)はギ酸と二酸化炭素の酸化還元およびNAD+とNADHの酸化還元を両方向かつ可逆に触媒する酵素である。FoDHは直接電子移動型の酵素電極反応を実現できることからバイオセンサー用の酵素機能電極として大きな魅力を持つ。さらにNAD+依存型酵素と組み合わせることで複合型の酵素機能電極を構築できる可能性がある。しかしながら立体構造がわからず、酵素内電子伝達経路も不明なままであった。そこで、クライオ顕微鏡技術を駆使することでFoDHの立体構造を解明した。また、酵素内部の電子伝達経路を明らかにし、電極反応部位であろう鉄硫黄クラスターを同定した。そして、FoDHの表面特性を明らかにすることで酵素機能電極の特性をさらに向上させるための知見を得た。 また、酵素表面の糖鎖が酵素の電極表面における配向に及ぼす影響を明らかにした。具体的には電気化学バイオセンサーにおける酵素機能電極の構成要素として優れた特性を示すビリルビンオキシダーゼ(BOD)表面の糖鎖を除去した変異型BODおよび糖鎖ミミックを結合させた変異型BODについて酵素電極反応を詳細に検討した。 酵素活性に及ぼす様々な要因として重金属イオンとの相互作用が挙げられる。酵素電極反応による酸素還元に高い活性を示す銅輸送酵素が銅イオンの共存によって向上する原因を究明した。また、同様に銀イオンによるBODの活性低下についての定量的な評価を行った。銀イオンは、電気化学バイオセンサーにおける参照電極からの溶出物であるため、その影響による酵素機能電極の特性透過は深刻である。そこで共存させるイオン組成を適切に制御するという簡便な防御方法を提案し有効性を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物質輸送律速型のバイオセンサーを構築する上で、もっとも重要な要素は、きわめて早い酵素電極間の電子移動反応を実現することである。特に、直接電子移動型酵素電極反応を利用した多孔質電極型のバイオセンサーにおいては、酵素内における電極反応部位を特定し、その部位をいかにして電極に近づけるのか、すなわち電極表面における酵素の配向制御が最重要課題である。そのために様々な電極表面修飾剤の探索が各所で進められているが、酵素はそれぞれが異なった表面性状を持つため、酵素全般に有効な表面修飾法は存在しない。そのため利用する酵素の立体構造及び内部の電子伝達経路と表面構造が明らかになったことは、計画当初の予測を大きく上回る成果であるといえる。 また、酵素表面に結合した糖鎖が電極表面における酵素の配向に及ぼす影響を明らかになりつつある。最も重要な成果は、電極反応部位の反対側に存在する糖鎖が配向を良い方向にそろえる働きを持つことを見出したことである。このように、直接電子移動型の酵素電極反応を積極的に制御するための基礎が充実してきている。 一方で多孔質構造の厳密な制御はいまだに困難であり、多孔質構造内部の物質輸送の定量的な評価には至っていない。来年度はその点をさらに深く重点的に解き明かしてゆく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔質金電極を簡便に作成するための方法論がほぼ確立し、様々な酸化還元酵素に対する特性評価が実施可能となりつつある。そこで、種々の酸化還元酵素を用いたセンサー構築を精力的に進めていく。 また、微小多孔質電極を作成する際に電極の表面が周囲の絶縁体と比べてくぼむという発見があった。そのため、当初想定していた物質輸送モデルをさらに改良する必要がある。同時に、この窪みは電極近傍の微小な電解槽として利用可能であると考え、この窪みが制御可能なものであるかどうかを正確に評価することを予定している。窪みの形状の再現性が十分なものであれば、イオン液体と組み合わせた微小全電解システムが簡便に構築でき、これは物質輸送律速による拡散制御を上回る安定性を実現することが可能である。窪みのスケールは数μmから数十μmであり、電子顕微鏡よりも光学顕微鏡による観察が適している。そこで今年度もデジタル顕微鏡をリースして精密な形状評価を継続して遂行する。 また、センサー用途としての説得力を与えるために、電極交換可能で取り扱いが容易なようにパッケージ化したバイオセンサーのプロトタイプ構築を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Multiple electron transfer pathways of tungsten-containing formate dehydrogenase in direct electron transfer-type bioelectrocatalysis2022
Author(s)
Yoshikawa, T; Makino, F; Miyata, T; Suzuki, Y; Tanaka, H; Namba, K; Kano, K; Sowa, K; Kitazumi, Y; Shirai, O
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Journal Title
CHEMICAL COMMUNICATIONS
Volume: 58
Issue: 45
Pages: 6478-6481
DOI
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Peer Reviewed
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