光ピンセットを駆使したエアロゾルのエイジングと雲凝結核活性の解明
Project/Area Number |
21H01964
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石坂 昌司 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (80311520)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 界面・微粒子分析 / レーザー分光 / 光ピンセット / エアロゾル |
Outline of Research at the Start |
エアロゾルは、大気中を輸送される間に様々な物理・化学変化を生じるため、化学組成や形態は極めて複雑である。そのため、従来の多種多様なエアロゾルの集合系を対象とした計測では、エアロゾルが雲の発生に与える影響を正確に評価することが難しい。したがって、エアロゾルと雲の相互作用は、気候変動予測における最大の不確定要素と見なされている。本研究では、申請者が独自に開発した光ピンセットを用いて、エアロゾル粒子ごとに、気相中でどのように化学反応が進行するか、また、どの湿度で水滴に変化するかを計測し、気候変動や局地豪雨の予測の土台となる実験データを提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
大気中に放出されたエアロゾルは、オゾンやヒドロキシルラジカルとの不均一酸化反応や、紫外線による光化学反応のため、その化学組成が変化する。このエアロゾルの変質は「エイジング」と呼ばれる。エアロゾルの物理的・化学的な性質は常に変化しているため、微粒子集合系の平均値解析では、エアロゾルの気候変動への影響を見積もる際に、大きな不確かさが生じてしまう。本研究では、単一エアロゾル粒子を空気中の一点に非接触で浮遊させ、エアロゾル粒子ごとに“化学組成”と“吸湿性”を同時に計測する。光学顕微鏡下でエアロゾルの「エイジング」と「雲粒の発生」を再現し、大気中で起こるエアロゾルの複雑な化学反応過程を理解することを目的とする。 R4(2022)年度は、針葉樹から発せられるアルファーピネンの二次有機エアロゾル生成に関する研究を実施した。これまで、アルファーピネンの気相化学反応に関して多くの研究が行われ、様々な反応生成物が報告されてきたが、従来のエアロゾル粒子集合系を対象とした実験では、系全体を測定してしまうため、二次粒子生成の鍵となる不揮発性化合物を特定することが困難であった。チャンバー内にアルファーピネンを滴下して密閉した後、紫外光を照射して発生した二次有機エアロゾルを、レーザー光を用いて気相中で捕捉することに成功した。また、レーザー捕捉した二次有機エアロゾルのラマンスペクトルを計測することに成功した。また、ピエゾ素子と電極を配置した顕微鏡用チャンバーを作成し、気相中にレーザー捕捉したガラス微小球の電場による位置変化を光検出し、エアロゾルの表面電荷を計測する計測装置の開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度のR3(2021)年度は、コロナ禍と世界的な半導体の供給不足により、光ピンセット用の光源であるCWレーザーの納入が予定より大幅に遅れたため、実験開始が遅れたが、R4(2022)年度は、光ピンセット実験装置の構築が順調に進み、これまで困難であった固体エアロゾルのレーザー捕捉とその表面電荷計測が可能となった。また、この光ピンセット実験装置を用いて、大気中で進行するエアロゾルのオゾン酸化反応の実験を開始することができたため、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き、光ピンセット実験装置を用いて、エアロゾルのエイジングと吸湿性(潮解と風解が起こる相対湿度)の関係を明らかにする実験を行う。植物から放出される揮発性有機化合物は、大気中でオゾンやヒドロキシルラジカルとの酸化反応を経て粒子化し二次有機エアロゾルを生成する。特に、針葉樹から発せられるアルファ―ピネンは排出量が多いため、二次有機エアロゾルの主要な発生源であることが知られている。大気中における二次有機エアロゾルのモデル化学反応として、アルファ―ピネンおよびピノン酸のオゾン/光化学反応に関する実験を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)